いかにも気になる内容だったので鑑賞。非人道的な人体実験を用いた大学講義から始まり、妙に不気味で不穏な空気がずっと続く。あれ? 何か……どうなの? というような絶妙な不信感が募っていく病院の怪しさ。その業界の人々なら直面しているであろう、”精神病患者にとってどうすることが一番の幸せなのか”を考えさせられる。人権への意識が低い一昔前の時代背景。院長の姿勢は一言に狂気と言って良いのか、それ以前の体勢が本当に正しいと言えるのか。崩壊していく精神病院の中で実習生エドワードは葛藤する。そこで出会った患者イライザはエドワードを必死で外へ帰そうとする唯一”正気”な患者に思えたが、その実、夫の耳を嚙みちぎり目をくり抜いた過去があり院長に肩入れしている。果たして彼女は敵か味方か、本当に気が狂っているのは誰なのか。年齢制限はありつつ精神病院系にありがちな残虐性やおぞましい演出で安易に盛り上げることはなく、精神病患者の人権と登場人物各々の思想にフォーカスしたミステリ風の仕上がり。他の精神病院系を見ていなければ衝撃は凄そう。