ある写真家に舞い込んだ結婚写真の撮影依頼。曰くつきの廃屋で奇妙な撮影をした翌晩、そこで花婿の生首が風鈴のように吊られていた。
市川崑・石坂浩二の金田一シリーズ最終作らしい。図らずも公開順に追えてしまった。これも知らなかったのでワクワクでいざ。正直一番好きかもしれない。『犬神家の一族』は別枠だけど、それ以外の4作の中で一番好み。 冗長な前作と真逆で驚きのテンポの良さ。そしてコミカル要素の豊富さ。でも事件の派手さとグロテスクさは変わらず、キャラクターも素敵。まずツカミがだいぶいい!不気味な客について行った先での結婚写真の撮影、花嫁は焦点の合わない目でぼーっとしたまま、廃屋の中で身勝手な花婿の指示通りに撮る。が、次の晩にその廃屋へ向かうと花婿の生首が風鈴のように吊り下げられていた。金田一はアメリカに行くパスポート写真を受け取るため、写真家に同行して事件に巻き込まれる。金田一の縁の入り、江戸川乱歩的な不気味で疾走感のある導入、これは楽しい。 次に笑い要素。隙あらば笑いを入れてくるスタイル。そこに若かりし頃の草刈正雄のファインプレーが光る光る。写真家のちょっと抜けた弟子役だったが昔からギャグ線が高かったのか、登場するたびにいちいち面白い。探偵助手をやりたがってやたらに懐いてくるポジションも今までに無かったので楽しめた。というかハンサムすぎてビックリした。ヒロインも演技力があってミステリアスなお顔立ちが魅力的だった。歌も上手い。 映像技術はまた進化して、オープニングのクレジットもフェードインしたりシーンがヒョイっと引っ込んだり。例のシーンは果たして合成なのか!?人物相関は今回もバリ複雑だけど真相の衝撃度は凄かった。キャスト被りの劇団も変わりないけど、毎回世界線が違うと思ったら警部がうっすら覚えていた……!何だかほっこり。この妙な感動は何だろう。それでもバッドエンドっぷりや報われない切ないラストも安定で良い。映画版金田一をコンプしてしまったので次は古谷一行のテレビドラマ版を見ようかしら。