透明人間

怖そうだ！前知識なしで鑑賞。めっちゃくちゃ怖かった。ホラージャンルで初めて泣いた。とにかく『透明』の使い方が最もゾッとする作品。幽霊だとかに感じる恐怖よりも、こいつはどこまで人を追い詰め尊厳を奪い地獄に叩き落として来るのか？という逃げ場の無い絶望感に目の前が真っ暗になる。単なる脅かしや暴力ではなく、『見えない』『誰もその存在を信じない』という武器を駆使し、主人公が周囲からの信用を失い孤立していくよう行動する。親切にしてくれた人を裏切るようなメールを成り済ましで送ったり、あたかも主人公の犯罪のように見せかけて暴力を振るったり、遂には……大切な人々を間接的に奪っていくやり方、本当に救いが無い。「アイツがやった」と訴えれば訴えるほど精神的疾患を疑われ味方を失っていく様も胸が痛くて耐えられない。証明出来ない犯人に、心を折る展開の畳み掛け。最低な人間が透明の力を持つとこんなにも酷い結末になるものか。そして透明人間に対峙した際のホラー演出も凄い。ちょっとした透明人間っぽいエフェクトも無く、マジで何も無い映像に胃がキリキリするような”気配”の猛攻と急なサプライズ。何をされるか分からないというのもあり、映画館で初めて目を瞑りシーンを見逃した（大反省）。人物相関や人間関係などは曖昧でこちらの想像力に委ねられる部分もあり、それぞれの経験値により感じる怖さは異なりそう。VFXはややチープだがそれも気にならないくらい主演の怪演にメンタルを擦り減らされる、サイコスリラー強めの良ホラー。