ヘルプ / 復讐島

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モラハラ若社長と社内の爪弾き者、遭難して無人島に漂着。サバイバルスキルのある後者が優位に立ち、日頃の鬱憤が狂気に変わっていく。

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サム・ライミ新作。宣伝が面白そうだったので公開日にレイトショーで鑑賞。
馬鹿馬鹿しいけどやたらに不快でホラーもある奇妙なテンションの映画だった。少なくとも部下がパワハラ上司をボコす爽快復讐シンプル展開ではない。

割と序盤から主人公を好きになれなかったので、個人的にはずっと「生理的にちょっとキツい」が漂って地味にストレスだった。
主人公キツいポイント、まず不潔。髪ボサボサで化粧っ気も無く食べ方も汚い。食べかけのサンドイッチは引き出しに直入れ。口元と手にツナつけたまま若社長に握手、信じられない。
そして良い歳をしてコミュニケーションに難がある。これはセンシティブな話になるけど、おそらく何か持っている。脈絡なく自分の頭の中のおしゃべりを展開する、聞いてもいないことを必要以上に話し続ける、無関係なコミュニティに首を突っ込んでおいて周囲の空気感に気づかず話題は全て自分の話に持っていく。正直申し上げて関わりたくないタイプ。

親の七光りで若社長となったディラン・オブライエンがパワハラ上司キャラだけど、ぶっちゃけ既に若社長側に共感していた。
好感度最悪な主人公をさっさとクビにしたい若社長は、海外出張に同行させて無茶な案件を押し付け左遷させようと企てる。そんなわけで一行は飛行機で現地に向かっていたが途中で事故が発生し海に墜落。主人公と若社長だけが無人島に漂着し一命を取り留める。大怪我を負った若社長とサバイバル番組に憧れて一丁前に生存スキルがある主人公、立場が逆転した無人島生活が始まる。

思っていたのと違うのは、別に主人公が若社長をめちゃめちゃ憎んでいるわけではないということ。どちらかといえば認めてもらいたいという感じ。
若社長がどれだけ死にかけても、意地を張って一人になろうとしても、見殺しにはせず救助する。向こうが殺しにかかってこない限りは加害せず一方的なザマァ仕草もしない。その点主人公は悪人ではない。

悪人ではないけどやっぱり人間性に問題がある。中盤あたりで決定的に主人公に共感できなくなる展開がやってくる。無人島にボートが通りがかったのに助けを求めなかったのだ。主人公は咄嗟に隠れて恐れ慄く、この生活をまだ終わらせるわけにはいかない……。
会社では成果を奪われ立場を失い飛行機事故でお先真っ暗、この自由な島で自分が輝ける場所を見つけてしまった主人公は救助のチャンスを自ら握り潰す。

自分は無人島生活を毛ほどもエンジョイできない勢なので、この主人公の自分勝手な行動にはドン引きもドン引き、ドンドン引きだ。はじめから主人公側に心が動いていない自分にはもうこの辺りからメンタル的にしんどかった。好きじゃない奴がこれから最悪な行動しかしないことが決まったようなもんだから……。

若社長側からしたら、生理的に受け付けない異性の相手にやられたらキツいってことをことごとくされている状況だから、そっち側に共感してる自分も同じような目に遭っている感覚だ。中でもおうと恐怖症の自分には悪夢のようなシーンもあったので本当に……マジで……。早めに察知したから薄目で回避したけど、嫌だ嫌だ。性別が逆だったらいよいよ洒落にならない。
猪狩りの鼻汁だとか終盤泥試合の無駄なグロさとか、そこ別にそんな気持ち悪くしなくていいだろうというところを徹底的に気持ち悪く、サム・ライミのこだわりのようなものを感じる。

あとは品の無い話になるけど、レイプしてこない時点で若社長は圧倒的に良い人判定。モラルが無かろうと性格が悪かろうと、極限の環境下で暴力や発散の手段として強姦してこない限り、自分だったら「なんて良い人なんだ……」と感謝しながら夜を過ごせるだろう。それくらい主人公が生理的に無理なんだと考えるとそれはそれでやっぱり同情するけど。
とはいえ初めて晩酌をした翌朝、寝ている主人公の頭の両脇の砂浜に手形がついてたけどあれは手を出したってことで合ってるんだろうか。若社長は海で体洗ってたし、雨降ったら距離が縮まっていたし。作戦だとしても厳しいな〜。

飛行機事故の時に窓にガンガン打ち付けられてる上司を見て発狂するでもなく冷静に窓を閉めたあたりから、なんとなく主人公は殺人に免疫がありそうだったが、やはりそうだった。酔った夫の車の鍵を隠したり、崩れる崖に相手を誘導したり、直接的な殺人というか未必の故意の実績が多くありそうな感じだ。

飛行機事故といえば、アジア人の同僚が投げ出されそうになった時に上司の足を掴んで口汚く罵ってきたり、アジア系のCAさんが凄まじい顔芸の死体となったり、うっすら感じていたアジア人の扱いをここでも感じることとなった。こういうのって「ああ、またアジア人がこんな役回りだ」と思いそうになるや否やフォローするように白人が無惨に死ぬから「ワハハ、気のせいか」みたいに誤魔化されている感じがするよなあ。
宇多丸ラジオでは「嫌な奴がアジア人に」と言ってたけど、嫌な奴というより「視覚的に不快な役はアジア人」というイメージがある。
『13日の金曜日(リメイク)』ではアジア人のメンバーが罰ゲームで汚い靴に入れた水を謎のハイテンションで飲み干して引かれてたり、『ウェポンズ』ではアジア人のおじさんがガンギマリの形相&血みどろ姿で大暴れした挙句車に頭を潰されたり、『EEAAO』ではほぼアジア勢でずっと下品だったり、『キャプテン・マーベル2』ではアジア人俳優が歌って踊る宇宙人の王子だったり。最後のは不快ではないけど天下のMARVEL映画進出で楽しみにしてた俳優だったから、滑稽な役でちょっと悲しかったんだよな。
『ウェポンズ』といえばアジア人のおじさんがゲイカップルで、『デッドプール2』ではアジア人女子がレズカップル、『EEAAO』もアジア人レズカップル。あ、『エターナルズ』は黒人キャラがゲイカップルだったな。キリスト配慮かもしれませんけど何だかな。
『哀れなるものたち』の予告ではアジア系の女性が何やらベローンと人体を舐めてるから「ああ、またアジア人が気色悪いキャラか」と思ったりした。全然そんなキャラじゃないのかもしれないけど、別に珍しいことじゃないからな。
だからこそ『メイズ・ランナー』のミンホってかなり貴重な存在。ゴリゴリにアジア人だけど最も走力・体力があり一度は捕らわれても最後まで生き残る。これ凄い、キャラの一人じゃなくて一番強いポジションにアジア人がいてシリーズ三作を生き残る。何か感じなかったかディラン・オブライエン。

とアジア人の扱いにモヤりつつ。珍しいからこそ目が行ってよりそういう印象を受けるのかなとも思いつつ、こんな直近の映画でもまたモヤらされたから長めに述べてみた次第。

最後に「戦略企画部よ」と言って銃口を向けるところだけは主人公イカしてた。(所属名は曖昧)
それにしてもヘアメイクをきちんとすれば途端に華やか美女だからやっぱり女優ってすごい。まあ、人生が上手い方向に行ったならそれで良いか。

途中のびっくりお化けが脅かした後すかさずこっち向いてきたのはちょっと笑った。
2026-01-30