栄光と転落と復活。ロックバンド『Queen』がザ・ナショナル・ボウルのライブで燃え尽きるまで。
Queenの人生を描いた映画!?監督ブライアン・シンガー!?!聞いたら分かるヤバいやつや。少し出遅れるも気合で鑑賞。特別大ファンではないにせよ高校時代にはDon't Stop Me Nowの歌詞を丸暗記するほどのめり込んだものだ。ベスト盤しか持っていないくらいじゃガチ勢の顰蹙を買いそうだが、黙らっしゃい。音楽は全てに平等だ。 そう、それにしても音楽がやばかった。スクリーンの向こうから生身のフレディ・マーキュリーの歌声が座席を震わせるほど響くではないか。同じ時代を生きることは出来なかったゆとり世代にも音楽は時を越えて届くのだ。ポケットティッシュ2袋用意したけど案の定咽び泣いた。伝説のトラックが次々に大音響で流れるし、トリビア程度でしかなかった楽曲誕生の瞬間をストーリーに沿って目の当たりのするのはえぐかった。タイトルにもなったBohemian Rhapsodyを初めて聞いた時の衝撃も鮮明に蘇る。評論家の耳より大衆の感性を揺るがしたムーブメントは鳥肌もの。そんでAnother One Bite the Dust誕生の演出やばすぎない?各種パスワードにするほどハマった曲、色褪せず素晴らしきもの。関係ないけどこの曲名の翻訳が人によって全然違うのは何故? ラスト20分の評価がゴリゴリに高いのは分かるが、やっぱりストーリーだ。フレディの身勝手さやチームの振る舞いなど批判する声もあるが、そんなのは当然、当時からあった意見だろうし皮肉なものだ。何よりフレディ転落の表現をブライアン・シンガーが手を抜くはずがない。彼本人も社会的・性的マイノリティに苦しみ数々の作品の中でそれに苦悶し抗うメッセージを込めてきた。復活だけの美談でもなく、ノンフィクションを最大限テンポ良く展開することに尽力した結果だろう。……からの、最後の最後に、高校時代の青春を費やしたあの曲が。Tonight~♪……嗚咽した。もう誰も止めないで。