洪水に襲われ荒れる村で、殺人事件が起きる。警察官である主人公は村の闇と自身の正義感で板挟みとなり苦悩する。
それなりに話題になっておりフォーラム仙台でもひっそり上映していたやつ。遠いので観てなかったけどPrime VIDEOで配信されていたので晩飯のお供に鑑賞。 全然分からん言語で話してるのでフランスかイタリアか迷ったけどイタリア語と見た。正解はルーマニアとブルガリアの合作らしい。つまり……? ルーマニア語とブルガリア語らしい。分かるかーい。 言語は分からないけど空気感はなかなか好きだった。 藤原竜也の『ノイズ』みたいな、一見して平和そうな村で殺人事件が起こって、村社会っぷりと権力関係が隠蔽・冤罪・口封じを連鎖させて有力村人の人生が崩れていく展開。あっちは主犯の藤原くん視点、こっちは板挟み警官の神木くん視点といったところ。 主人公は田舎を出て順風満帆な兄とは対照的に、いい歳で妻子も無く村でおまわりさんを無難に務めていた。人生の転換点として一念発起、所有する住宅を売って果樹園を持ちたいと考え出していたが、共同経営者の姉から猛反対されているところ。 そのうえ村は洪水によって甚大な被害を受けており、村長と共に復旧作業に奔走する日々。そんな中で新人警官の青年もやってくる。忙しくもうだつの上がらない日々を送っていたある日、村で殺人事件が起こる。 はじめから何となく不穏な雰囲気ではあったが、殺人事件が起きたときのワクワクったらない。やっぱりこういう話だったかー! という嬉しさ。 犯人はザ・有力村人の村長と神父なわけだけど、どちらも主人公とはズブズブで何なら村長からは果樹園の土地を譲り受ける話になっていた。そんなことはいざ知らず新人警官は事件を解決しようと躍起になっているものだから、犯人二人からあの新人に余計なことをするなと伝えてくれと主人公は直談判されてしまう。 小さく貧しい田舎の村で、生活の全てを握られている主人公は逆らうことも出来ず捜査を打ち切り、新人からは失望され陰口を叩かれる始末。殺人被害者の妻は冤罪をかけられた上に村長に難癖をつけられ居場所を奪われようとしている。 それでもタダで果樹園を手に入れ、これで良いんだと納得しようとしていたところで新人が血まみれの姿で倒れているのが発見される……。 主人公はダメ人間なのかと思っていたけど、元々正義感が強くて体制に反抗したことでこんな田舎に左遷されたようで、新人が倒れているのを目にした時ももんどりうって駆け寄り激しい後悔に泣き叫んだりと人情が残っていてホッとした。まだ若く何の罪もない新人にあんなことをされるのは流石にメンタルにくる。村長への愛想を尽かすには十分すぎた。 そんな主人公なので最後には村長と神父を逮捕するため単騎で立ち向かい相打ちとなる。川の水面を覗きボロボロな自分の顔が映っているのを見て「悪くない……」と呟いて倒れるのは風情のある最期。 風景は明るくて美しいけど薄暗くてやるせない話、最終的に悪いやつは殺されるのでバッドエンドではないはず。 本国版ポスターがポップすぎて逆に不気味。日本版と迷うところだ。