公開年
2024
バカンスで知り合った夫妻に誘われ、週末を夫妻宅で過ごすことにした主人公家族。が、少しずつ夫妻の違和感に胸騒ぎを覚えていく。
バカンスで知り合った夫妻に誘われ、週末を夫妻宅で過ごすことにした主人公家族。が、少しずつ夫妻の違和感に胸騒ぎを覚えていく。
公開年
2024
推し俳優のジェームズ・マカヴォイがスリラー主演なのでワクワクで待機していたら、まさかの劇場公開無しで配信スルー。うそーん。 でもとりあえず『胸騒ぎ』のリメイクと聞いたので一旦そっちを観てから鑑賞することとする。ほーん、バッドエンドな胸糞人怖映画か。 しかし今回は令和ハリウッド版ということもありスカッとするエンド。全体的に辻褄が合うように綺麗にまとまっていて、異常性には丁寧なフォローもあって、大衆ウケする感じに仕上がっていた。 ヴォイの役はヤバいおじさんの方だった。最近の配役的にも何となくそっちのような気はしていた。 とはいえヴォイはイギリス人、オランダ語は難しそうだな……と思ったら普通にイギリス人設定だった。元ネタの方はデンマーク家族がオランダ家族に招待されてたけど、今回はアメリカ家族がイギリス家族に招待される。 元ネタの方はオランダ家族がちょいちょいオランダ語で喋って言葉が分からない感じが微妙な不快感を醸し出していたが、今回はお互い英語なのでずっと言葉は通じる。 元ネタと違う部は他にもちょいちょいあり。 子供達の年齢は9歳からちょっと上がって12歳。主人公のアメリカ夫はリストラされて求職中、妻には3ヶ月前に不倫されかけて微妙な関係。アメリカ娘は持病持ちで、ぬいぐるみが好きなのは単なる趣味ではなく心の安定剤として。 これらの新規設定は後から全て回収されていく。 子供12歳設定はアメリカ娘の初潮の言い訳を使えるようにするため、そしてイギリス息子の機転と行動力をもう少し良くさせるため。アメリカ夫の無職は行方不明になっても問題なしと判断されるため。アメリカ娘のぬいぐるみ依存は単純に12歳がぬいぐるみを理由に帰れないというゴネの説得力用だろう。ついでに子守の男の身の上や低収入っぷりに触れたのは何故協力するのかの肉付けか。 一つ一つちゃんと辻褄を合わせていく感じは新しかった。 そして元ネタのオランダ夫妻で露骨に表れていた異常性がもうちょっと上手く処理されていた。 夜中にアメリカ夫妻を外からじっと見ていることもないし、アメリカ妻がベジタリアンなのを知らされるや否や前日のミスを即謝罪する。アメリカ妻シャワー中に邪魔することもなければ、不満をぶつけられても感じの悪い言い訳はせず「娘を流産して子宝に恵まれず……」なんて真っ当に同情を誘う理由を説明する。 オランダ夫妻よりも常識人寄りで、うっかり異常性を見せた後のフォローが上手い。 元ネタで最も決定的だった職業詐称バレも、一度は「医者は嘘だ」と元ネタ通りにバラすが、直後に大笑いして「なんちゃって〜医者じゃなきゃ家は持てない」としっかり騙す。ヴォイのファンなので「いいぞ、うまいぞ」と心中呟いてしまう。 でも確かにオランダ夫妻の場合は、これまでもそしてこれからも犯行を重ねていくのにもうょっと怪しまれないように出来ないものか? と感じていたので、今回の異常夫婦の立ち回りの上手さは納得感がある。まあ初日で夜逃げされる展開は変わらないけど。 この初日の夜逃げも元ネタよりは爽やかな感じになっていた。元ネタは幼い娘がぬいぐるみを忘れたことにぐずぐずして親が仕方なくUターン、到着して父親が降りて行った後に車内でぬいぐるみを発見というモヤモヤシーン。 だが今回は娘がぬいぐるみが無いことで発作を起こしかけ、腕を掻きむしるのでUターン。ぬいぐるみは本当に家の中にあったという爽やかさ。令和だ。 イギリス息子もちょっと大きくなったから割と序盤からちゃんとSOSを出している。 元ネタは終盤までオランダ夫妻の秘密を明かさないため、息子の振る舞いも曖昧にしていたんだろうけど、今回はこの息子の言動からイギリス夫妻のヤバさを早い段階から仄めかしていた。リメイクだしな。みんなオチ知ってるでしょ的なアレか。 息子の健闘実り最終的にはアメリカ家族+イギリス息子で脱出する。ハッピーエンドだ! 一番の改変、生還エンド。もう娘が舌を切られて親が始末されるバッドエンドではない。 そして母(アメリカ妻)がめちゃめちゃ強い。どんなにショッキングな場面でも誰よりも冷静で、判断が早く、肉弾戦も手近な武器を駆使して切り抜ける。これは嬉しい、何故なら元ネタのデンマーク妻の抵抗の緩さに若干違和感を抱いていたから。幼い娘が目の前で舌を切られて連れ去られたのに、すぐそばにいる犯人に手も足も出さずその場で喚くだけというところ……普通、全身全霊をかけて犯人の息の根止めに行かないか? と思っていたから。今回の母は娘(とイギリス息子)最優先で、三人の敵のうち二人は母が仕留めている。後の一人はイギリス息子が実行して積年の恨みを晴らす。 見やすいサスペンススリラー、本家の胸糞具合は無いけど嫌な気持ちにならなくて良いんじゃないかしら。最低な推しも素敵だ。