新薬開発のため陸海空それぞれの最大級の恐竜から血液を採取しろと任じられた一行。巻き込まれた一般家族と共に禁忌の島に上陸する。
『炎の王国』あたりからいまいちハマっていなかったジュラワシリーズ、新作が出たので義務的に観に行ったら……ちゃんと面白かった! 原点回帰した島完結のアドベンチャー&スリラー。めちゃめちゃテンポが良く目的もはっきりしていてブレない。精鋭部隊と一般家族の2視点サバイバルも楽しい。やっぱり恐竜系はこういうのが良いよね。前作なんかイナゴ地獄にクローン論争に軸がブレブレだったし、ここらで軌道修正するには規模感もキャラ構成もちょうどよかった。 心機一転、主役はクリプラからスカヨハ姉さんへ。クリプラはいつも最高だったんだけど、いかんせんシリーズが微妙な方向に行ってしまったので何とも。 傭兵のスカヨハが製薬会社の御仁に大金を積まれ仕事を依頼される。人々を救う新薬を作るため、生きた恐竜のDNAすなわち血液を採取しなければならないとのこと。それもただの恐竜ではない、陸海空の3領域で最大の種から採取する必要があるという。そう、モササウルスにケツァルコルトスに……あの……デカい草食系だ。 ケツァルコルトスが生理的に無理すぎて非常に苦手だったので、今作でとうとう来たか……とドキドキ。等身大の標本が鳥類とは思えないデカさで怖すぎるのよね。空代表も頷ける。 そんで仕事を引き受けたスカヨハが頼れる同僚たちに協力を求め、いざ出発。なんやかんやで恐竜は赤道付近のとある島にのみ生息している世界線。立ち入り禁止の島なので、今回の任務は限りなくグレーに近い黒。そんな中、船で島へ向かっている途中に救難信号を受信して、ボートが難破した家族を拾うことに。しかしモササウルスの血液採取に成功後、恐竜たちに襲われてスカヨハたちの船もピンチ。結局家族とスカヨハたちは分離して島に上陸し、それぞれに行動して目的遂行と脱出を図る。 チームの中でもメインは主人公のスカヨハと、専門家として連れて来られた博士の二人。三種の血液採取という明確な目標はそのままに、報酬のために動くスカヨハが博士の話を聞いているうちに製薬会社ではなくオープンソースとして世界のために無賃で明け渡す方針へと心を動かされていく。そういう要素もある。 博士が良いキャラ。典型的な理系キャラだけど、普通にトークが面白い。「死ぬなら浅瀬の浜辺が良い」「ロマンチックだな」「化石になりやすいから」とか「恐竜は頭が悪いが一億年以上生き残った。人間は賢いが20万年しか生きていない。そして自分たちを絶滅させられる」とか。ジュラシック・パーク一作目のジェフ・ゴールドブラム的な”詳しい人の深面白い話”をちょいちょいしてくれる。 家族側も楽しい。お父さん、高校生くらいの長女、高校生くらいの彼氏、小学生低学年くらいの次女の四人。彼氏は最初全然ダメな奴なのですぐに退場しそうだったけど、彼女が恐竜まみれの海に落ちた時に真っ先に飛び込んで男を見せてから見直した。それきっかけでお父さんの見る目も変わっていく。 小さい次女も足手まといキャラになることなく常に優秀。今回は全体的にイライラするようなダメキャラがいなかったのでストレス無く観れた。 恐竜が出るたびに人がちゃんと喰われて死んでいくのも久しぶりな感じ。だけど死んで欲しくない良いキャラはちゃんと生き残るから嬉しい。家族は一人も死なない。博士もフラグは立ちまくってたけど生き残る。リーダーも決死の囮を買って出てちゃんと生き残る。これ嬉しかったな、死ななくても済みそうな囮作戦だったから百戦錬磨の傭兵なら帰って来れるでしょ……! と思いながら観てたし。 ティラノサウルスの影は薄めだったけど、味方枠になることもなく荒くれ者ポジションとしてノルマクリアしてくれた。ていうかティラノ、泳げるんだ。あんまりイメージなかったから娘たちと同じリアクションだった。あのサイズで水面泳がれるの怖いな。 ひっきりなしにピンチが訪れて楽しい。ジャングルだけでなく終盤は数十年前の研究員たちが利用していた施設なんかが舞台でワクワクする。 今回の化け物枠はいよいよエイリアン化していてめちゃくちゃだった。まずヘリコプターに食いつくぐらいの巨大っぷりで足が六本ある。デカい四足にティラノみたいなちっちゃい前足が二本。頭部はもろエイリアンっぽい。嫌な奴を奇跡的な食べ方で貪る。名前はD-レックスらしい。 映画らしいご都合展開も多いけど映画だから良いのだ。久々な感じの王道恐竜映画で楽しかった。