ザ・ウォッチャーズ

The Watchers

不気味な森に迷い込んだ主人公とインコ。そこで謎の建物に隠れ住む3人の住民と出会う。そして毎晩建物の人間を観察しにくる”ウォッチャーズ”の存在を知らされる。

ザ・ウォッチャーズ

The Watchers

カナダ帰りの飛行機で鑑賞二本目。観ようと思って観てなかった準新作がラインナップに含まれていた。
監督はナイト・シャマランの娘らしい。監督やってたのか、初見だけど親父に倣ってSF急転系ホラーなのかな。

結果的にはじんわりSF化ホラーだった。
母の死に罪悪感を抱えて以来塞ぎ込んでいる孤独な主人公ダコタ・ファニング。ある日仕事でインコを連れ目的地まで運転していると、不気味な森に迷い込む。森の中で車は完全停止してしまい、インコと共に彷徨い始めるが謎の存在に追い回され絶体絶命。そこでこれまた謎の建物に辿り着き、住民に招かれ間一髪命拾いする。
建物の内部は質素なワンルームで壁の一面がマジックミラーになった一戸建て。居合わせたのは若い女性と青年、主人公を救った初老の女性。困惑する主人公に一同は更に不可解なことを話し出す。「”彼ら”に見せなきゃいけないから、壁の前に立って――」。

どうやら一度森に迷い込んだが最後、二度と脱出することが出来ないらしい。試みたもののループしてまた戻ってしまったり、日が暮れると謎の生物に襲われ命を奪われるらしい。最も歴が長い初老の女性が森のシステムに詳しく、幾つものルールを作り出して迷い込む人々に固く守らせていた。
既に命を落とした仲間を見てきたからか、盲目的に初老女性の言いなりになる二人に主人公は痺れを切らし、ルールをどんどん破って脱出を図る。

こういう極限の状態に陥った時、ちょっとずつルールが分かってそれを破れなくなっていく感じ分かるな。来たばかりで勢いと元気があるうちに色々試すのは良いことだ。
でもマジで何があるか分からない謎生物の巣穴に侵入してみるのは度胸ある。罪悪感で抜け殻になっていたものの生への執着を絶対手放さない主人公は頑張っていた。

そうそう、ウォッチャーズというのがその名の通り一戸建てにいる人間を毎晩観察しにくる謎生物。それも一匹や二匹ではなく大量にいる。人間側はマジックミラーのミラー側なので、奴らの姿は見えない。
オチ的にはウォッチャーズは大昔に封印された精霊たちで、復活とともに人間の姿に擬態するため生きた人間の生活ぶり、人間模様を観察していたという感じ。建物はとある教授が実験用に建てたもので、地下研究所にてウォッチャーズの生態及び擬態能力を研究していた。目的は亡くなった妻の再生で、ウォッチャーズの生態を利用しようと企んでいたのだが、実験用に捕らえたウォッチャーに襲われ命を落とす。主人公たちは記録ビデオに残された脱出経路の情報を入手し、何とか森を抜け出すことができた。

からの大オチは、ずっと主人公たちをサポートし命懸けで共に脱出した初老女性が実は教授の妻に擬態したウォッチャーだったというもの。それに気づいた主人公が、正体を表したソイツを説得して共生の道を歩ませたところでエンディング。シャマランの娘っぽいぜ。

ぶっちゃけ教授の存在が割と序盤から仄めかされていたこと、初老女性の紹介が「大学で〇〇学を教えていた」だったことから、黒幕の教授と女性はパートナーだったんだろうなと察せてしまう。加えて、教授が死者の再生にこだわっていたことから亡くした妻か子を復活させたいんだろうな、ウォッチャーズに擬態能力があることから登場人物の誰かは擬態なんだろうな、と察せてしまう。基本察知しないようにしているスタンスだけど察知できてしまうので、ちょっと驚き要素がぬるいかもしれない。

設定とシチュエーションの割にそんなにドキドキしないのは、テンポがそんなにサクサクじゃないのと、状況に対してそれほどショッキングなシーンが訪れないからだろう。最初からいるメインの登場人物4人のうち死亡するのは一人だけだし、途中でメンバーが増えたりもしない。本当に殺されるという恐怖と緊張感はあんまり無かった。殺される展開がほぼ無かったもので。もっと人数いたら良かったのかもしれないけど、それだとよくあるデスゲーム系になっちゃうのかな。それも好きだけど。

あとは、いくら何でも数年あそこにいてカーペットずらしてみたことが無いというのがちょっと信じられない。カーペット一枚で地下研究所への扉が隠されてたのよ。嘘でしょ。森から脱出できない、食糧もない極限生活でよ。流石にいやぁー……もうちょっと隠してないといけないでしょう。と、大事なところが気になってしまったりもした。

森抜けてからもまあまあ尺があったので、もう森単体のワンシチュエーションでもキレがあって良かったかもしれない。などとちまちま言っても仕方ない。
掴みからじんわりと失速してしまった感はあるけど家族で見るなら楽しいんじゃないかな。インコは助かります。
2025-07-25