サイレント・ナイト

Silent Night

クリスマスにギャングの抗争に巻き込まれ、愛する息子と声を失った男。次のクリスマスにギャングを全滅させる復讐を企て特訓を開始する。

サイレント・ナイト

Silent Night

多分ジョン・ウー作品はミッション・インポッシブル2しか観ていないが(記憶なし)、戦うジョエル・キナマンが観たいので観るぞ観るぞ。スーサイド・スクワッド(一作目)の大佐の人よ。基本的に戦うハンサムは大体好き。しかし今回は開幕早々喉を撃たれるのでセリフ無し。

復讐モノなのはやんわり知ってたけど、まさかまだちっちゃい子供を亡くしてしまうとは。
序盤は喉撃たれる、入院する、起きたら声出ない、退院したら息子いないで絶望のオンパレードすぎてキツかった。まだ妻や恩師がやられる系は映画として受け入れられるけど、小さい子供がやられるのは勘弁してほしい……子供との思い出を回想しては現実に打ちのめされるシーンの連続で、メンタル的にキツい。
とはいえそれが強烈な動機になり、飲んだくれて現実逃避していた主人公も意を決して復讐に乗り出す。

唐突に廃車を買ってきたり武術の練習を始めたりする主人公に、ただでさえ神経をすり減らしていた妻は家を出ていく。一人になった後も筋トレ、カーチェイス、銃撃その他の鍛錬をひたすら積み重ねて極めていく。そう、今回の主人公はごく普通の一般人なのでゼロからのスタートだ。

ただ直接的な物言いだが、障害者が上手くいかず焦ったりしている図は痛々しくて割とダメージを受けた。エンタメとして面白そうやんけと思って観に来た自分がちょっと嫌になってくる。そういえばこれまで観た障害持ちキャラって皆一様に常人離れした強キャラだったんだな。デアデビル然りエコー然りドニー・イェン然り。

とはいえ後半は話せない要素が活かされた演出これといって無かった印象。無口な主人公は元々そんなに珍しくないしな。戦えるようになったあたりからは特に違和感なく観ていた。

最終的に主人公は死闘の末復讐を遂げて命を落とすのだが、デカいことをする前に思い出のオルゴールを取り出しては覚悟決めていたので、観ている側としても心の準備が出来た。素人がギャング一派を、それも親玉を殺すのは普通にそれくらい突飛なもんだ。突飛な映画を見すぎて感覚が麻痺していた。

ギャング相手にどうにか勝っては心臓バクバクさせている主人公、人間らしくて良かった。負傷した警官を助けようとして助けきれなかったり、震えて命乞いするギャングの女を見逃そうとして撃たれたり。プロフェッショナルじゃないからこそずっとゼエゼエ言いながら何とか進む姿はヒヤヒヤするけど好感持てる。

プロフェッショナルと言えばギャングを担当している警察官が真っ当に強くて嬉しかった。これがプロか……とテンション上がったところであっさり腕を撃たれてしまっていたのでちょっと残念。もうちょっと見たかったが出番は少なかった。

ギャングのボスの女、スタッフロールで日本人っぽい名前だったな。アジア人、黒人、タイ人及び女性警官がふんだんに登場して多国籍なキャスト陣だった。病院もアジア系っぽい人ばかりだったからそもそも主人公家族がアジア系に住んでるのかな? 場所についてあんまりしっかり聞いてなかったな。とりあえず治安が最悪なところだ。

主人公はハンサムだけど、子供を失うしんどさと口を聞けないもぞさで想像以上にしっとりした物悲しいアクションだった。帰ってジャッキーチェン観よかな。
2025-04-12