リゾートでバカンス中の作家夫婦に降りかかったのはクローンによる無法化と、それに溺れる金持ち達の歪んだ娯楽であった。
うわあ、クローネンバーグの息子も監督やってたんかい。出演にミア・ゴスの名前もあって野生の勘が働き友人・家族は誘わず一人で鑑賞。一人で観て正解であった。クローネンバーグ親子はどっちも趣味が捻じ曲がっているぞ。ジャンルに何て書いていいのか迷うから困る。トリップ系である。 スランプ中の売れない作家が妻と共にインスピレーションを求めて異国のリゾート地へ観光ツアーに訪れる。 そこで出会ったファンを名乗る夫婦と交流を深めるものの、敷地を抜け出して遊んだ帰りに現地の住民を車で轢き殺してしまう。あっという間に逮捕された主人公だったが、なんと多額の金さえ払えばクローンを作り出しそちらに処刑を被らせることが出来るという。 言われるがまま契約に応じ、滅多刺しにされる自分そっくりなクローンを目の当たりにする主人公。既にクローンによる無法化の虜になっていたファンの夫婦に誘惑され、主人公は一夏の歪な欲望に取り憑かれていく。 このパターンだったか。メインキャラで死人は出ないけど、嫌な気持ちにはなる世にも奇妙な物語。 ミ◯ドサマーを観た後なのでそれほどショッキングには感じなかったけど、真っ当に生きることがイケてると思っている自分にとっては見るに耐えない体たらく。 ドン引き妻を放ってパスポートを無くしたふりをして、自分のファンだという女の言いなりにフラフラ麻薬を吸い、暴れ、捕まったらクローンで回避。キマりっぱなしの金持ち観光客に囲まれ欲に溺れ続ける主人公。 時々正気に戻って帰国しようとすると金持ち達に連れ戻され、ずるずるリゾート地に留まってしまう。最終的には雨季の訪れとともにシーズンを終了するリゾート地から一斉に帰国するのだが、主人公だけは帰れず土砂降りのビーチに居座ってエンド。 ひどいもんだ。ダークな方の藤子・F・不二雄作品感。 一番可哀想なのは主人公の妻には違いないが、あんな奴から離れられたんだから結果オーライじゃないだろうか。作家の才能が無いのはどうしようもない事実だったっぽいし。実家は太いんだから見限って問題なし。新しい幸せ掴んでいこう。 ミア・ゴスは見るたびに全裸になってるから、自分の中ではすっかりヌード女優のイメージがついてしまった。久々に見て思い出したけどこの人は声も結構特徴的。白人成人女性にしては高い声。妙に甲高くて甘ったるい、あえて耳障りに響かせている感じもする。眉毛薄い(無い?)のも異質な感じがする、やっぱりエックス・ファクター的ポジションが似合うんだろう。 ていうか主人公、苗字からもしやと思ったらやっぱりビル・スカルスガルドの兄弟らしい。兄なんだって。確かに似ている、あそこの兄弟はこの手の雰囲気が似合うな。 特に主演メンツは体を張っていたから頑張ったで賞。 しかしこれもミッド◯マー同様、自分の中の過激性との対決になってしまい何とも。よりヤバい予想をしていたらそこまでは行かない感じ。ほどほどにシンプルに観た方が楽しい。 ところでインフィニティ・プールには一度も訪れてなかったけど認識あってる……? 刑務所のあのクローン作るプール風の部屋は違うもんね? そうよね。