密航者の男が裏組織に追われ、満身創痍で九龍城砦へ逃げ込む。そこで砦のボスや住民たちに匿われ、男は自分の居場所を見つけた。しかし男の出生が引き金となり、砦は決戦の地へと変わる。
話題になっていた香港アクション。中国公開の際に谷垣健治氏がTwitterで引用してて存在を知る。 楽しみにしてたら最寄りのMOVIXでやってなかったのでちょっと遠出して109シネマズへ。久々に行ったけどQRチケットでハイテクな感じになっていた。ここと大河原でしかやってないからか、マニアックな映画の割に人が入っていてテンション上がった。 とにかくキャラクターが良い〜〜。全員ビジュアル・性能共に素晴らしく、そこに個性光るド派手アクションなのでだいぶ面白かった。 主人公は無骨な迷える丸坊主密航者、カオスな香港において黒社会を拒絶し真っ当な人生を目指す。ずっとボロボロだけどナイスガイ。ストリートファイトを生き抜いた野良戦法。 主人公が逃げ込んだ九龍城砦のボスは人望の厚いダンディーオジキ。龍拳のごとくガチガチの型で繰り出す必殺拳がフォーム含めて全てかっこいい。白髪も渋くてあまりにもダンディー。 ボスの弟分にして九龍城砦を守る用心棒リーダーはナイフ使いの若き色男。薄汚れた砦で異彩を放つ顔の綺麗さ。イケメンだがボスや親友を守るため指がちょん切れても戦い抜く。バイクも飛ばす。 その友達の鎌使いのヤンチャ青年、別のシマの弟分だがやっぱり親友のために足が折れても戦い抜く。身軽でロープを使った戦闘も得意、リーゼントの形にも余念がない。 そして九龍城砦の覆面万能ドクター、これが私の何もかもを掻っ攫ったどストライクキャラクター。覆面キャラ(志々雄真実風)という時点でバフがかかっているが、筋肉バキバキでまず体がカッコ良すぎる。それで医者というポジションも良い。行方不明の想い人を探すため日本のAVを漁っているのも良い。それで日本語も喋れてしまうのも最高。終盤で顔出しファイトした時には心臓が止まるかと思った。でもエンディングでは再び覆面なのがとてもとても好き。銭湯はパワーゴリラ系。 なんとサモハンも出ている。昔のお調子者キャラばかり見てたけど、今回は極悪ボスで新鮮。しかし似合うなあ、貫禄があって悪役も合う。悪役似合うかどうか、チェンとサモハンの大きな違いでもある。チェンが好きだ。 サモハンいまだにキレキレで楽しい、ダンディオジキとの白髪同士の一騎打ちは激アツだった。 そしてそしてサモハンの一番弟子、キチ◯イ兄さんも最高。終始ヒャッハー系、最終的にはサモハンへの下剋上でラスボスへ。これがなんと気功の使い手で、ワンピースで言うところの指銃と鉄塊が使える。すなわちスーパーアーマー搭載のチートキャラなのでとにかく強い、まあ強い。勝ち目がない。このラスボスかなり良かった。こいつによる九龍城砦サイドの負けイベも展開的にだいぶ好き。 と、全体的にキャラクターが魅力的でかなり楽しかった。これは女性にもウケること間違いなし。本国ではメインの若手四人組(主人公、イケメン、やんちゃ、覆面ドクター)がK-POPばりの人気っぷりらしい。分かる分かる。 ジョン・ウィ◯ク系よりは派手でケレン味のあるアクション。その格ゲー感が楽しいから良いのだ。谷垣氏が監修してるとのことで納得。ワイヤーは惜しみなく使うし特撮も積極的に使う。 九龍城砦はちょっとセット感があったりCGがややチープだったりはしたけど、かなり頑張って作ったらしい。そう考えるとパイカリとかってあの時代にあの舞台の完成度凄まじかったな、と関係ないことに感動を覚える。予算が違うか。 ストーリーは昔の世代のいざこざに主人公及び若い衆が巻き込まれる仁義なき戦いで殺伐としてるけど、九龍城砦の人々は人情があり、四人組には確固たる絆があり、クスリとくる要素もある。複雑すぎずぬるすぎず、ちょうどいいバイオレンス。何より九龍城砦の雰囲気がいい。 パンフレットでちょっと面白かったのは中国政府的に九龍城砦は不潔・不衛生で混沌とした国の汚点でなるべく隠したいものだったのに対し、特に日本人は興味津々で中国よりも資料や研究が豊富だったということ。セット再現にかなり貢献したらしい。 なんかあの雰囲気はロマン感じるわ。異国情緒というか、異質な感じというか。当事者じゃないから呑気に言ってられるけども。 漠然とロマンある香港のどえらい場所というイメージだったけど、この映画で単純に九龍城砦の歴史が学べた。あのごちゃごちゃした不潔な街を走り回ってファイトする様も楽しい。 アクション、音楽、AVにカラオケ、日本語のセリフと日本要素が思いのほか散りばめられていて嬉しかった。 もう一回観てもいい。覆面ドクターにどハマり。