ピギー

Cerdita

肥満体型を豚と揶揄われイジメを受けていた主人公が猟奇殺人鬼に目をつけられ、いじめっ子が惨殺されていく。

ピギー

Cerdita

キャッチフレーズ的にいじめられていた主人公が殺人鬼になっていく話かと思ってたけど、主人公が異常者に執着されて日常が歪んでいく話だった、いいよいいよ。そっちのが俄然好きですよ。

主人公の肥満体型女子がプールでイケイケ女子たちに殺人未遂のいじめを受けていると、それを目撃していた男がイケイケ女子たちを誘拐する。主人公は誘拐の現場を目撃するが、恐怖と男の奇妙な親切さで何もせず見逃した。
翌日プールで監視員の遺体が発見され、主人公は恐ろしい男の執念に巻き込まれていく。

先に述べた通り想像と異なる展開でだいぶ良い。個人的に主人公堕ち話よりヤバい奴に付き纏われる話の方がスリルがあって好きというのもある。男は基本沈黙なので何考えてるのか分からない感じも緊張感あって素敵。

序盤のひどいイジメには普通に泣いた。フィクションだけど何でそんなひどいこと出来るんだろう、現実に辛い目に遭ってる青少年が今もどこかにいるんだろうと思うと勝手にしんどくなって泣けてきた。主人公の泣き演技が悲痛すぎてメンタルにザクザクくる。

だからこそぶっちゃけ、男が救世主に見えちゃってダメだ。ネタバレだけどどうやら純粋に(?)主人公への愛でやっていたみたいだし。店員に嗜められて主人公が諦めたお菓子を男が後から買い込んで時々渡すのも健気だった。
うん、お菓子のせいで男を嫌いになれなかったなあ。君のために邪魔者を殺すよ系おしゃべり異常者ならよく見るけど、ひたすら無言で殺して無言でお菓子くれるおじさん。過保護な両親を殺すけど主人公が止めたら小さい弟は殺さなかったし。生理来ちゃった主人公のために下着も調達しといてくれるし。それは微妙か。

ダークヒーローもの見すぎたせいか、序盤のドン引きないじめっぷりでイケイケ女子側への共感がマイナスになっていたせいか、終盤はもう男と一緒になればいいじゃないと思って観てた。最後の最後、イケイケ女子たちに復讐せず男を殺した主人公は人間として正解なんだろうけど、こちらとしては「そうかぁ……」だった。色々悲惨だけど一応ハッピーエンドか? ハンサムくんとも和解したラストっぽいし。

しかしもうイケイケ女子を許せなくなってる&男が普通に気に入っている自分的には、やってくれちゃった方がスカっとする……と、観ている間は思ったけど、見終わってから噛み締めたらやっぱり映画の展開の方が圧倒的ハッピーか。弟が一人ぼっちになったら可哀想すぎるしね。主人公は事件に加担したわけではないからムショ行きにはならないだろうし。いじめの主犯だけやられて、他二人も一応助けたから仲直りできたら良い。あわよくばハンサムくんとお近づきになれたらなお良い。

ハンサムくんめちゃくちゃハンサムだけど、常にあの露出多めのダルダルタンクトップなファッションはどうにかならないのか。そこだけ凄い気になった。

それともう一つ、主人公がいじめられるのは体型もあるだろうけど普通に不潔感がいけない。髪食べる癖だったり生肉に寄りかかったり、ちょっとしたところで何か嫌な感じの不潔さが滲み出ていて絶妙だった。太っていても清潔感があれば少なくとも損はない、思春期は気をつけよう。

殺人よりもいじめの方でメンタルやられるサスペンスだった。だいぶ良い。
言語は英語じゃなかった、スペイン語らしい。タイトルもピギーではなくスペイン語での"子豚"だった。読めない。
2025-01-19