人々の夢の中に現れ、ただ立ってこちらを見つめるだけの男。彼は世間の人気者となったが、やがて夢の中の男は人々に狂気を向け始める。
みんなの夢の中にニコラス・ケイジが出る話と聞いて観に行く。ずっと繁忙期で興味ある映画全然観に行けていなかったので数週間ぶりの劇場鑑賞。これA24だったのか。 都市伝説のThis Manは生理的に受け付けなくて大嫌いなんだけど、ニコラス・ケイジは好きなのでビジュアル的には全く怖くない。そして今回は都市伝説というより実際に存在する主人公のニコラス・ケイジが何故か他人の夢に現れて持て囃されて途方に暮れる話。 妻と娘二人、穏やかな家族に囲まれて冴えないながらも平凡な日々を送る大学教授のニコラス・ケイジ。学生時代の同志が当時の自分の研究を剽窃して華のある生活をしていることにモヤモヤしつつ、受講生の少ない講義を続けていた。 そんなある日、周囲の人々の夢の中にニコラス・ケイジが現れたという。ブロガーの元カノが記事をまとめたところニコラス・ケイジのfacebookには続々と同様の現象が起きた人々からコメントが。テレビ取材も受けた結果世界中で現象は広まり、瞬く間に教授はバズっていく。 チヤホヤされて舞い上がる教授はこれを機に剽窃された名誉を取り戻すべく出版を志すが、オファーは胡散臭いベンチャー企業からの胡散臭い広告案件ばかり。またモヤモヤを抱えている間に今度は人々の夢の中でニコラス・ケイジが暴力を振い始める。毎晩人々を夢の中で惨殺する教授、スターから一転世界中からバッシングの的となる。 何をしてもどうやっても株が下がっていく悲惨な転落の過程が描かれる。 まあハッピーエンドなんじゃないか? なんやかんやで教授がとうとう現実に人に危害を与えてから夢の現象はパタリと止み、夢を利用した企業や商品が派生し、パッとしないが本も出版でき、家族とは別居になったが不仲ではなく、最後に愛する妻と夢で過ごして終わる。人生終わっていないし、全然ハッピーエンドだと思うよ。世にも奇妙な物語。 人々の非難は客観的に見れば理不尽かつ無責任以外の何物でもないんだけど、気持ちは分かる。赤の他人でも見知った人でも、毎晩出てきて自分に何かしてくるのは嫌でしかない。本人が全く無関係なのは理解できても、気持ち悪くてしょうがない。自分のメンタルのために会うのを拒絶する気持ちは分からんでもない。だがしかしセクシーな夢見てバチバチに意識する気持ちも分かる。そういう夢見て急に好感度上がった人もいる。単純なもんである。