少女が深夜の学校で目覚めると異形の化け物が徘徊していた。監視社会で起きた悲劇的な事件の悪夢に巻き込まれる。
ホラーゲームが実写化されたやつ、配信されていたので夕食のお供に鑑賞。 ゲームの雰囲気はだいぶいい感じだったけどちゃんとプレイ動画見たことなかったので初見状態。 舞台が良い、蒋介石独裁下の台湾。共産主義による監視社会で、些細なことも反乱と見做し問答無用で逮捕される時代。 ある少女が目を覚ますとそこは真っ暗な校舎の教室。そこで遭遇した後輩の少年と共に帰宅しようとするが、校門の向こうは激しい土砂崩れにより道路が沈んでおり、とても通ることが出来なかった。 諦めて学校で夜を過ごすことにした二人だったが、何やら校内の様子がおかしいことに気づく。葬式用の札が貼られていたり、職員室が荒らされていたり。なんと、少年が参加していた「読書クラブ」の存在がバレ、軍によるガサ入れが入った後だったのだ。「読書クラブ」は二人の教師と数人の生徒で構成される、政府の目を盗んで禁書を読む集まりだった。メンバーは無事なのか? 一体誰がクラブの存在を密告したのか? 混乱のまま真実を探る中、二人は異形の怪物を目にすることとなる。 ネタバレすると学校の怪談系と思わせてサイレントヒル系だった。 罪のある者がその部分の記憶だけ都合よく忘れて異界に閉じ込められる、あのサイレントヒルと本筋はほぼ同じ。 なんと密告をしたのは少女と少年、二人の共犯だったのだ。少年の取り落としたノートで読書クラブの存在を知った少女だったが、ある理由で密告を決意した。それはクラブのメンバーである教師に片思いをしていたためだった。 荒れた家庭環境で過ごす少女に、その教師は親身に寄り添ってくれていた。少女は次第に思いを寄せるようになったが、ある日教師が女教師と話しているのを盗み聞きしてしまう。女教師は少女との交流を控えるように言い放ち、次に「私たちのことはどうするの」と問いかける。この言葉に彼らが交際していると思った少女は女教師を陥れるために密告を決意したのだった。 ではどのように証拠を手に入れたか、それは少女に恋心を寄せる少年を利用することであった。少年の落とした本が禁書であることに気がついた少女は、その後その本を貸してくれないかと頼む。 以前から少女に憧れていた少年は少女を信じ、仲間を騙して本を渡してしまう。それが証拠として密告に使用されたのだった。 (観た直後に感想書くと細かいとこまで覚えてるから良い。) 実際のところ女教師は読書クラブのことを言っていたので、少女の完全な勘違いだった。 しかも女教師一人を陥れるつもりが少年を除いたメンバー全員――もちろん教師も――銃殺刑となった。 少女と少年は自分の犯した罪を自覚しては記憶を失って深夜の学校で目覚める、という地獄のループの中にあったのだ。 最終的には少女が罪を受け入れ、少年をどうにかして校門の外へ脱出させて悪夢に終止符を打った。 現実に戻った少年は投獄され拷問を受けていたが、すでに仲間全員が処刑されたことを把握していたので全てを自白した。数十年後、中年となった少年が取り壊しの決定した校舎へ赴き、教師から聞いていた手紙を回収して少女の幻に渡しエンディング。「今世では縁が無かったが、来世でまた会おう」と書かれていた。 後でゲームの内容を確認したらほぼ同じだったので、忠実に実写化されていたようだ。 共産主義下の悲劇的な事件で、時代背景といい雰囲気・不気味さ良い感じ。ただ不満があるとしたら化け物が一体しかいないこと。もっと何体かヤバめのやつが出てきたり、ラスボスが出てくるのを期待してたけど、そういったホラゲー要素は少なめだった。 無惨な仲間たちの遺体が次々写る中、おかしくなってしまった一人が「どうして密告したんだ?」と問いかけてくる的な精神的ダメージが多め。事件そのものも救いが無いし、虚しい話。 しかしこちらは先にサイレントヒルを知っていたので「これはサイレントヒル系だな……」とすんなり受け入れ体制にはなってしまった。あのストーリーはやっぱり偉大だったんだな。 ゲームの方もちゃんと見てみよう。