希望の星へ移住するため、宇宙を漂う廃船に乗り込んだ若者5人とアンドロイド一体。しかし船内には謎の生命体が大量に積まれていた。
エイリアン新作は観る観る。このシリーズを映画館でリアタイ出来るの『コヴェナント』以来2本目だから何気に一大事。しかも監督が『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスだという。え、えらいこっちゃ。 ドンブリといえば怖かった映画トップ5には食い込むやつ。あのステルス戦、悪趣味展開をエイリアンの世界線で見れちゃうのがもう期待値MAXだ。 個人的には逃げ場のない宇宙船で謎の完全生物から逃げ惑うしかない一作目が大好きなので、今回のシチュエーションはだいぶ良い。 年間の日照時間ゼロという絶望的な常世の植民星で、奴隷のように労働を強いられる貧困層の若者たち。彼らは星の上を漂うユタニ社の廃船を発見し、主人公の弟であるアンドロイドを連れて行けば中に入れると踏んだ。 そして若者たちは目論見通り廃船に乗り込むことに成功し、積まれているポッドで希望の星への移住を企てる。ところが船の中には謎の生命体が培養されており、若者たちの侵入によって生命体は一斉に動き出してしまう。 一作目に回帰する、閉鎖空間での丸腰の恐怖。エイリアンが一体でなく大量に発生したり、主人公が武器を持って立ち向かうのは二作目の要素もある。プロメテウスの繋がりもあるし、一作目と同型のアンドロイドも登場する古参サービスまで。 アンドロイドのセリフもまんま同じのがあったりしてニッコリ。アンディの決め台詞も何かのオマージュだろうけど全然思い出せなかったので後で二作目を見返そう。二作目そんなにハマらずあんまり観てなかったから。 ただちょっと思ったのは、どんどんお祭りになっていったエイリアン1〜4のシリーズ、やたら神秘的で壮大なプロメテウスとコヴェナントを経て今作に至るシリーズファンにとっては「原点回帰!」という視点の嬉しさがあるが、順番通り一作目の次に観る人からしたら「割と一作目と同じだな」って感じになっちゃうよな。 シチュエーションもそうだけど、脱出機で安心してからのダメ押しや主人公が宇宙服着てラスボスを宇宙空間に吹っ飛ばす展開なんかはモロである。倒し方としては定番なんだけど、続けて観たら演出は被って見えちゃうよね。まあ仕方ない。 シリーズへのオマージュも盛り盛りだけど新視点や新戦法もあって、新作としてはだいぶ楽しかった。期待していたステルス戦もあるし、お気に入りはアンドロイド。 今回のアンドロイドは少年タイプで性格も繊細で気弱、主人公の父親に主人公を守るように指令された心優しき弟である。序盤の頼りない感じに「このアンドロイドを好きになれるだろうか……」と若干の不安があったけど激アツ展開が待っていた。 廃船に倒れていたアンドロイドのモジュールを挿入したところ、性能がアップデートされたハイテクアンドロイドになってしまったのだ。再起動直後のフェイスハガー鷲掴みはカッコよかった。 主人公最優先だった少年の中身が会社の利益優先の究極合理的マシンに切り替わる、そういうのも大好物なのでかなり楽しかった。全員を危険に晒さないため一人分の命は見捨てる、シリーズ通して垣間見えたアンドロイドの冷酷さが引き継がれる。 最後には心というか弟のアンディを取り戻すから良い話だ。 脱出船に乗ってからの最終戦が非常に良かった。カッコ良いエイリアンは散々見せたのでここで恐怖演出に本腰。助かったと思った妊婦から謎の生物が生まれちゃう。この生物の完全体の見せ方がかなりゾッとして良かった。これこれ〜。 ビジュアルも相当不気味。後で記事が出てたけど一回ディズニーから差し戻されてたらしくて笑った。それで燃えてる監督もさすがだ。 ラストの大びっくりシーンで真後ろの人がビックリしすぎて椅子の背中を蹴ってきた時は心臓止まるかと思った。大びっくりシーンで後ろからの衝撃はダメだろう。映画館で一番ビビったかもしれない。ご勘弁。 公開二日後に行ったけどパンフレット売り切れてて憤慨。いつも買わないじゃないか〜とか言ってはいけない。TOHOがダメならMOVIXだ。