未解決事件の全貌。ドライブ中の若者5人組が拾った女性が車内で自殺したことから、悲惨な大量殺人に巻き込まれていく。
おや、悪魔のいけにえ=テキサス・チェーンソーかと思ったら別なのか。と思い手に取ってみたら悪魔のいけにえのリメイクがコレらしい。原題同じで邦題だけ違う、紛らわしいやっちゃ。 思っていたより良かった、面白かった。結末もスッキリ。本家の最大のインパクトであったストレスフル大絶叫耐久も排除されている。良い具合に怖いけど本家ほど攻めてはいない感じ。 お話の構成はやんわり本家と同じだけど、展開やキャラは結構がっつり異なる。 最初に車に乗せたのは若い女性だし、レザーフェイスの一家も少年がいたりご近所さんがいたりとメンバーが多い。おじいちゃんも車椅子だけど健康そうだ。 展開はずっと切羽詰まっていて良い。 まずメインの若者たちはイベントに遅れそうで車を飛ばしている状況。途中で様子のおかしい女性を見つけ、一同が心配して車に乗せるとその女性は突然「あそこには戻りたくない」と発狂し、隠し持っていた銃で自殺してしまう。大パニックの若者たちは近場の店で通報してもらい、警察との合流地点へ急ぐ。 合流地点にて謎の少年に保安官の居場所を案内してもらうことになり、その場に残る組と少年について行く組に分かれて行動する。少年に連れられた先があの恐ろしい館であり、残っている組のもとへ現れた保安官もグルであった。 保安官の正体はオリジナル版を観ていれば察しがつくが、若者たちにとっては唯一の救世主であるから歯痒い。 イベントに間に合わない焦り、女性を匿うのに反対だったメンバーの苛立ち、車内の惨状、こっそり持ち込まれていたハッパ、なかなか現れない保安官……などなど、序盤からとても冷静ではいられない状況が若者たちをひたすらに蝕む。スマホもない時代なのでこれは良い嫌シチュエーション(矛盾)。 レザーフェイスによる第一被害者のシンプルで一瞬な見せ方も本家へのリスペクトを感じる。本家『悪魔のいけにえ』はファーストキルの見せ方がかなり絶妙。前触れもBGMも無く突然襲われ、引いた視点に切り替わってレザーフェイスがドアを閉めて終わり。のどかな田舎の家であっという間に殺人が行われる様子がゾッとする。今回も一瞬。 だがしかし本家と違い、この度は一家に味方枠がいる! 初登場の少年である。絶体絶命の主人公に脱出口を教えてあげるのだ。この少年の存在だけで既にリメイク版は随分優しい世界だ。 それにしても一個ど〜してもアレなのは生き残り二人になった時の主人公の立ち回り。仲間の決死の突進でレザーフェイスがチェーンソーを取り落とし、なんとそれを拾わずに仲間の方を掴み上げたところ。どう考えてもチェーンソーを奪って逆襲するべきなのに、主人公は何故か仲間を離させるようレザーフェイスにしがみつくばかり。結局仲間はやられてしまうし、チェーンソーも再び回収されてしまうし。ただただ仲間が犠牲になっただけ、ちょっとここはテンション下がってしまった。主人公に共感出来なくなると仕方ない。 モヤるシーンはあれど、最後に誘拐された赤ちゃんも連れて生還するのはホッとした。レザーフェイスのぶん回しラストも再現されててちょっと笑った。 主要な一家はまだ生きているので第二、第三の事件も続けられそうだ。