宿敵に嵌められサッカー選手生命を断たれた男が、夢に燃えるカンフー青年に出会い少林サッカーチームを結成し、大会で宿敵チームに挑む。
小さい頃録画したビデオテープで観てたやつ。本当に断片的にしか覚えてないけど、確実に面白かったのは覚えている。 無性に観たくなったので近場のレンタルビデオ屋を漁るも在庫なし。東京出張時に丸の内と銀座の蔦屋書店を巡るも無し。そもそもDVDが無し。諦めず池袋のTSUTAYAに行ってやっと発見。ヒット作なのにこんなに無いか……。 関係ないけど夜の池袋のど真ん中にデカいネズミ何匹も歩いててドン引きした。大阪梅田でももうちょっとネズミはコソコソしていて慎ましかった。絶対に池袋でご飯は食べない。仙台は美しい。 大人になってからちゃんと観るとあまりにも自由すぎて笑った。こんなにフリーダムだったか、子供の頃はボボボーボ・ボーボボすら自然に受け入れてたから純粋に楽しんでいたのだろう。 でもボロ靴ごと生卵すするシーンだったり、暴力で流血沙汰になるシーンだったりで割と怖いイメージもあったな。卵は今見ても引くけど香港ギャグとして受け入れよう。 地味に驚いたのはこれ主演と監督が同じ人だったこと。そう周星馳。チェンと違って漢字の字面の方が馴染みある。読み方は分からん。シュウハセイって読んでた。星と馳の順番を空目して。めちゃくちゃである。ちゃんと確認したらチャウ・シンチーというらしい。チェンとはまた違った路線でレジェンドだ。 シンちゃん(周星馳)のキャラも系統で言えばチェンと同じく気の良い兄ちゃん枠なんだけど、こちらの方が底抜けにアホで純粋で王道ハンサムなのでドラマっぽい。 主人公シンちゃんは亡き師匠の遺志を継ぎ少林寺拳法を世に広めるため、広報活動に打ち込みつつ明るい極貧生活を送る。 ひたむきに夢を追うシンちゃんの姿、そしてサッカーセンス。それらに胸を打たれたのは怪我で現役を退いた元サッカー選手のおじさんだった。おじさんは因縁の宿敵を見返すため、シンちゃんを筆頭とした強豪サッカーチームを育成し大会優勝を目指す。 主人公の設定全然知らなかった、単純にサッカー強くなりたいカンフー青年かと思ってた。ちゃんと熱い意思を持っていたんだな……。序盤の兄弟子とカンフーデュエットするシーンはマジで記憶が無いのでTVではカットされていたんじゃないかと思う。後で姉に確認しよう。 唐突に通りすがりの人々とスリラー踊ったり、練習試合で暴力沙汰になってフルメタルジャケットになったり、今見ると色々カオス。しかし楽しければ良いのだ。 アクションは惜しみなくCG及びワイヤーを駆使しているけど、この時代にしては凄い部類じゃないだろうか。 実際の試合でカマしたら確実に盛り上がるのは空渡りか。飛ぶんだぜ試合中に。絶対ぶち上がるわ……。個人的にはブレイクダンススキルでの球さばきがだいぶカッコ良くて好き。 そしてキーパーがゴリゴリのブルース・リーで笑った。そうだ、当時ブルース・リーのブの字も知らなかったから記憶にも残ってないんだ……。衣装から鳴き声からジークンドーから何もかもまんまで嬉しい。鼻ペイって擦るシーンは大喜び。そもそも序盤でシンちゃん既に「俺の尊敬するブルース・リーも……」て言っちゃってたしな。 言っちゃってたでいうとメタネタも結構多い。「ワイヤーアクションかよ〜!」とか。おデブを誘う時に言われてた「お前雑誌に載ってただろ」も多分中の人(周星馳)の話よね。遊び心たっぷりである。 大人になってから観るとシンちゃんなかなかひどい男。肌荒れまくりでコンプレックス抱えまくりの女子に初対面からまっすぐな瞳で「綺麗な顔」って言い続けといて告白したら「そういう気持ち(の好き)じゃない……」とどストレート返事。そりゃ泣くわ。シンちゃんが誑かすようなタイプじゃないと分かっているからこそキツい。わかるわかる。 そっから丸刈りにして決勝の助っ人に行く女子の心意気がめちゃくちゃ好き。最後TIME誌にCoupleって題されてたけど無事にくっついたと思って良いのかな。良いオチ。 ずっとふざけてるけどコーチのおじさんが宿敵からの八百長を断るのはグッときた。あのとき金に目が眩んだから……と勝手に深読みして涙ぐむ。宿敵をハメるとかその足を折るとか同じやり方で復讐出来るところを、真っ当にサッカーのチームで戦うのがまた。若気の至りとはいえ自分にも非があったことを分かってるから正々堂々と勝ち直したいんだろう……おじさん、好きだ。どことなくエンケンに似てるし。 思い出の吹替え版で観たけど山ちゃんの抑揚はやっぱし笑う。返却期限で字幕まで観ることが出来なかったので、またいつか観たい。