パラサイト 半地下の家族

見よう見ようと思っていたのに受賞してしまったから観る頃には激混み、流石ポン・ジュノ作品。あらすじに惹かれ不気味系だろうと予想して行ったら思いのほかコミカルで驚き。スパイものを想起させるテンポの良さ、キャラクターの立ち具合といい某万引き家族と対照的に海外を意識したテイスト。寄生していくというから狡猾な手段で迫っていくのかと思ったら割と行き当たりばったりのドタバタ劇もあったりして笑った。笑うやつだと思わなかった。韓国映画へのイメージで家族愛が強い、女子が女々しくないという例に漏れず、半地下家族の結束力は固い。身内の醜い争いとか決定的な仲間割れとかも特になく、最後まで愛があったのは嬉しい。女子も言葉遣いや足グセの悪さ、煙草に飲酒と自由で素敵。そして何より寄生される側のお金持ち家族もキャラがバリ立ちでコメディ要素盛り盛り。何だぁ、楽しいじゃないかあと油断したところに怒涛の終盤。緊張と不安に襲われっぱなし、鳥肌が立つような映像の連続、ゾッと血の気が引く展開。凄いものを観てしまったぞ。ラストのラスト、一度絶望に叩きのめされた直後、見下ろされるのはヤバかった。真っ暗な劇場、自分が地下に閉じ込められたかのような感覚に襲われた。映画館で今すぐここから逃げ出したいと思ったのは初めてだった。世にも奇妙な物語、が一番しっくり来る表現かもしれない。