拳精

拳精

少林寺から門外不出の七殺拳の書が盗まれ大ピンチ。下っ端の青年が五獣拳を精霊から教わって立ち向かう。

拳精

拳精

またロー・ウェイか。だんだん分かってきたぞ。70年代チェン映画は大体この監督。時々チェン・チーホワ。

ファーストインパクト「声違う!!」。何故なら吹き替えがいつもの石丸じゃなかった。声違うだけでこんなにいずいとは。非常に違和感があったのでそっと字幕版に切り替える。

これ面白かったな! まさかの特撮で幽霊登場。テンション上がるわ。『霊幻道士』的な。チェンの霊幻道士とか超見たいわ〜弟子側でやって欲しい。
幽霊というか五獣拳の精だった。五匹の獣の拳法だからそれぞれの精がいる。蛇、虎、鶴、龍、豹である。虎と豹は似ているんじゃないかとか考えてはいけない。
こうやって見るとやっぱり蛇拳って個性もあって格好良いよなあ。目を突きにいく拳法、凶悪である。

お話の設定なり展開なりは割と王道だけど、幽霊騒ぎや犯人探しといった新鮮な要素もたっぷりで面白い。
チェンは少林寺で修行中の下っ端で例の如くお調子者。ある夜チェンが見張り番に立っていると突然何者かに襲われ、そのまま中にいた僧たちも倒されて門外不出の七殺拳の書が奪われる。七殺拳に対抗できるのは五獣拳だけだったが、その書は紛失されたままだった。
数日後の夜、隕石による大地震で五人の幽霊が現れ少林寺はパニックに。チェンがその幽霊たちを追い詰めると五獣拳の書を発見する。そこで幽霊たちが五獣拳の精であると気がついたチェンは、技を教わるように頼んで七殺拳による悪行を止めるため修行を開始する。

七殺拳の悪用を手引きする少林寺側のスパイ探しが割と面白い。少林寺の人間も何人か殺され、真犯人が絶妙に分からない。最後に判明した時は地味に驚いてしまった。

今回の下っ端チェンは僧たちと一緒に山奥の少林寺に篭りっきりで街には出ない。
館主の娘さんが遊びにきた時、案内をしながら「ねえ君、女?」とド直球に聞くシーン。おもろポイントなんだろうけど、孤児で母親も知らず寺からも出たことがないチェンにとって初めて見る女性なんだと思うと妙に切なくなって勝手にしんみりした。案の定騒ぎを起こした時に「女の人見たの生まれて初めてなんだ」と言い訳していてまたしんみりした。

あとは田んぼや川や茂みで蛇とかカエルとか鶏を捕まえてるシーン。『醒拳』でまんま同じシーンを見た気がして確認したらやっぱりそうだった。そういえば醒拳はツギハギ映画だという話だったから、この映画からも使っていたのだろう。また混乱しそうだ。

修行中の僧たちが下っ端のチェンとめちゃめちゃ仲良いのが微笑ましい。何かしらの罰を受けてる最中でもこっそり飯を届けてくれたり。罰を受けた後でのたうち回るチェンが宿舎に戻ると皆起き上がって「どうしたどうした」とワラワラ集まってきたり。逆に何でチェンはあんなポテンシャルあって下っ端止まりなんだ。生活態度か。

隕石はどうかと思うけど、やっぱり特撮の幽霊(精)たちのわちゃわちゃが楽しい。世界観が新鮮で面白い回だった。
2024-05-19