蛇鶴八拳

蛇鶴八歩

忽然と姿を消した八人の師匠と秘伝の書。ある日秘伝の書を持ち歩く青年が現れ、あらゆる派閥がつけ狙うが青年は八人の拳法を使ってぶちのめす。

蛇鶴八拳

蛇鶴八歩

新作公開まで未見のチェンを見続ける。70年代チェンがまだまだ漁れていなかったな。

『蛇拳』と若干タイトルが似ててややこしいけど、今回はよくある「お調子者が痛い目を見てor身内をやられて拳法を極めて敵討ち」パターンではなく割と新鮮な内容だった。
なんと言っても最初からずっとチェンの正体が分からない。

その昔八人の師匠がそれぞれの拳法を組み合わせた最強の拳法"蛇鶴八拳"を編み出し、選ばれし者にその奥義の書と秘伝の武器を渡して武者を統一させると取り決めた。しかしある日を境に八人の師匠は全員忽然と姿を消し、奥義の書も一切が謎に包まれたままとなる。
そこにふらりと現れた、奥義の書を持つ男がチェンである。飯屋でうっかり書を落としたばかりに盛大にバレ、そこからひっきりなしに襲われ続ける。
天下統一を目論む者や師匠の行方を探る者に散々問い詰められても「今は言えない」の一点張りで、全員を倒してはプラプラ人探しをする、それがチェン。

本当に終盤までチェンが何者で師匠たちがどうなったのか分からないので、普通に真相が気になって最後まで観れた。
今までで一番イケメンなキャラだったな。顔というか立ち居振る舞いが。顔は80年代が垢抜けている。
常に余裕たっぷりで、いつものふざけて怪我するパターンには陥らない。素人相手には徹底的に裏拳のみでいなす。更に女相手だったら露骨に手を抜く。最初から最後までずっと最強のポジションだったな。
何よりポイント高いのは女に靡かないスタイル。あの手この手で仕掛けられても絶対に手を出さない。最早過去に何かあったんかレベルで出さない。それでヒロインからの信頼を得たけど「なぜ僕を信じるんだ」「私に手を出さなかったから」「それだけで?」いや〜結構デカいよそこは。単に書を絶対手放さないという固い意志なんだろうけど。

そして中国時代劇いくつか観てきたけどここに来て冬服の概念を知った。いつもの中華服にファー(?)が付いている! それか相当もふもふな裏起毛か。息白いし、だいぶ寒い時期に撮ったんだな。

ラスボス戦は『少林寺木人拳』とまんま同じシチュエーションで今後確実に混乱しそうだな。野っ原にてチェン側の派閥が待つところに盛大な駕籠でラスボスが登場する演出とか。
ラスボスの黒龍拳は型がガチガチに決まっていてカッコ良かったな。基本の構えが渋い。まさかの三人槍の介入は流石に卑怯だと思ったけど、チェンの凄まじい捌き方が見れたので楽しい。どんだけ稽古したんだろう。ニセ槍にしたって突かれたら確実に痛いだろうし、ものすごい練習量が伺える。

垢抜けチェンでやったら人気が出そうなキャラではあった。
一つ気になるのはあの師匠だけ毒で即死せず生き残った理由。特に話されなかったけどシンプルに体質なのかな……。
2024-05-15