龍拳

龍拳

師匠を殺した仇と渋々和解した一番弟子。しかし難病の薬と引き換えに仇の競合の下につくこととなり、突如パワーバランスは競合に傾く。

龍拳

龍拳

70年代チェンを総ざらいじゃい。もう公開順とかぐちゃぐちゃに観てるけど。
これ79年か、マジでどんなペースで映画作ってんだ香港勢。

などと香港映画の活気に羨ましくなりつつ鑑賞。珍しくチェンがボケ無しのシリアス回!
序盤から重い。最強の称号を得たチェンの師匠が三段蹴りの達人男に勝負を挑まれ、敗北してそのまま命を落としてしまう。死に際に道場を託されたチェンは達人男への復讐を誓う。
達人男の方は道場に戻ると妻が首吊り自殺をして亡くなっているのを発見する。そこには夫の愚行に失望し、自分の死を戒めにするようにという遺書が遺されていた。その時から達人男は犯してしまった罪の重さに気がつき、苦悩の日々が始まる。

三年後、チェンは師匠の夫人と娘を引き連れて達人男が道場を構える土地へ降り立つ。
そこで達人男は自らの片足を切り落として詫びたため、夫人の温情で確執は清算されたこととなった。師匠の死に対し、片足だけで未だ命ある仇にチェンがモヤモヤしていると夫人が奇病に罹り倒れてしまう。唯一効く薬を扱っている地元の悪党に分けてもらえないか懇願すると、チェンがそこで働くことを条件に出されてしまい、夫人のために従ってしまう。

達人男側からすれば清算したはずのチェンが悪党に加担して自分のシマの人々に手出しをしている。すれ違いによる軋轢は更に深いものとなり――的な話。めっちゃ長くなったな。思ったより複雑な話だった。

『プロジェクトA2』とかでもそうだけど、理不尽に罪を被せられる系は単純に胸糞が悪いので観ていてキツい。何故か弁解もそれほどしないし、こちらがモヤモヤしますわ。まあ最後には敵側が何もかもバラすので良いけど。毒を盛って奇病に罹らせたとか、スパイ送って人質殺したとか黙ってりゃ分からんことも全部バラすから映画だ。

先に述べた通りチェンは終始思い悩んだ様子でいつものお調子者ムーブは鳴りを潜めている。寂しい。
その代わり一本筋の通った良い人間なんだけど、それだけに冤罪で失望される流れがしんどい。「あなたは良い人だと思っていたのに……」信じきれや。子供殺すわけないだろう。子供殺しの冤罪がマジでキツかった。信じきれや。

仇が既に反省しちゃってたり薬のために断れなかったり、とにかくチェンが不憫なポジション。孤児だったみたいだし、もし自分の父を殺した奴が「反省している。詫びとして片足を落とした」て言ってきて母が許したら……知らんな。殺るだろうな、こちとら。問題は仇の派閥の人間はみんな良い人ってとこだろう。気の毒だチェン。

最終的に夫人は死んでしまうし、悪党殲滅できたとしてもチェン的に後味は最悪だ。冤罪が晴れたのがせめてもの救いだけど、そもそも悪党が余計なことしなければ全ては穏便に済んでいた。や〜な感じだったなあ。

悪党側との最終決戦は見応えあって普通に良かった。チェンもずっと最強ポジションがブレないの好き。
チンピラ相手にさっくり倒したり、仇側からギャンギャンに警戒されたり、悪党側についたら圧倒的戦力だし。ブレない最強ポジションはやっぱり面白い。
しかしタイトルの龍拳の主張は特に無かったので、これに関してはタイトル忘れそうだな。
2024-05-16