少林寺木人拳

少林木人巷

口の聞けない少林寺の門弟が、地下に閉じ込められている男から拳法を教わる。しかしその男は凶悪な殺人鬼であった。

少林寺木人拳

少林木人巷

ずっと大人拳かと思っていたた木人拳だった。今までで一番の空目タイトル。新作公開に向けて未見のチェンをどんどん観るぞ。

チェンが一重瞼だ!! 『新・怒りの鉄拳』が前年の1976年だから、78年の『蛇拳』からが二重瞼チェンなのかな。やっぱり別人に見えて不思議。
今回は口が聞けない青年ということで、いつもの軽口が一切封じられて寂しい。一重瞼チェンだと顔芸も薄めになるのでより一層寂しい。
そんな障害を抱えながら辛い修行を……と悲しんでいたら、ラスボス戦で「敵を見つけるまで口を聞かないと誓ったんだ」と話していてホッとした。よかったねチェン。十年ぶりの発声が「人殺しめ!!」なのは物騒すぎるけども。

お話は例のごとく時代劇修行モノ。
少林寺にて修行中のチェンは、二年目にして未だに雑用係。しかし幼少の頃父親を殺された敵討のため必死で食らいついていた。
ある日チェンは立ち入り禁止の穴蔵の奥に、鎖で繋がれた男を発見する。男を不憫に思って甲斐甲斐しく世話をすると、礼に必殺の奥義を教わることに。
奥義を練習するチェンを見かけた尼僧が、それは殺しの拳法であるとして更に秘伝の拳法を伝授する。
二人の師匠からそれぞれ攻めと守りの技を学んだチェンは、難攻不落の試験である木人との戦いを見事制して少林寺を後にする。

しかし鎖に繋がれていた男の正体とは、かつて少林寺で修行を積んだのちに街で組織を作り、殺人を重ねた凶悪犯だったのだ。
鎖を脱して街へ戻った男は、自分を少林寺へ突き出した者たちを次々と殺していく。実情を知ったチェンは師匠と思っていた男の残虐非道にショックを受けつつ、更なる修行を重ねて師に打ち勝つ技を会得する。
そしてとうとう決戦の日、師匠だったその男こそが父を殺した犯人と知ったチェンは怒りと共に奥義を繰り出す。

てっきり木人をクリアして終わりというさっくりストーリーかと思っていたら、割と複雑なストーリーがあった。
師匠が二人だったり、その前に酔拳っぽい師匠からも型を教わるので、ぶっちゃけチェンの立場だったら大混乱だけど上手く使いこなしたもんだ。
その昔部活で先輩からフォームを教わるときに、人によって全然違うことに困ったのを思い出した。A先輩のフォームをB先輩の前でやると「それ違うよ」と言われたり。知りませんがな。

それはさておきラスボスにトドメを刺さないチェンは義理堅い。一日の師は一生の師、とのこと。それはそうと目の前で恩人(しかも一般人)家族を殺害されたら全然トドメ刺しそうなもんだけども。小さい子供もやる辺りマジでラインを超えている。ダメだろ生かしちゃ。

それにしても最後のラスボスの死に様、中川家が再現してたアホな死に方のやつでだいぶ笑った。
アホさもだけど、それよりもこんなマニアックなところをピックアップして兄弟でモノマネしてたのが意味分からなくて面白かった。でもwikiで見たらこの作品から日本でウケたとのことだったので、直撃世代ということなのか。
ついでに言えば次長課長・河本の「お前に食わせるタンメンは無ぇ!」も『酔拳』で発見して笑った。そんなセリフは無かったけど吹き替えと字幕で違ったりしたのかな。80年代チェンを追える世代、羨ましいなあ。
2024-05-12