ポスターがかわいかったので配信にて鑑賞。本当にポスターが普通にかわいかったので、映像の古さにびっくりした。そんな昔の映画とは感じないセンス。
ほんでオープニングクレジットにジョージ・A・ロメロの名前を見つけてまたびっくり。何の人だっけ〜〜と思いながら観ていた。鑑賞後に確認したら『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の人だった。なるほど確かにスリラーテイスト。
冒頭で老人が出てきて、こちらに語りかける。社会における高齢者の悲惨な現状を問題提起するのだ。加えてこの映画に登場する高齢者は皆ボランティアであると述べる。
なるほど遊園地を舞台にした社会的なお話らしい。
場面が変わり、真っ白な部屋に大怪我を負った老人が放心状態で座っている。うわあ! もう面白そうだ。
そこにもう一人の身綺麗な老人が入ってきて声をかけるが、ボロボロの老人は応えない。「私は外へ行きますよ」と告げると、「外には何もない」と呻き出す。「行って確かめて来ます」と、身綺麗な老人が扉を開けると華々しい遊園地が広がっていた。
大勢の人々で賑わう遊園地にて、老人は恐ろしい仕打ちを受ける。残酷なまでに冷たい社会の"高齢者"への仕打ちである。
歩きが遅いとぶつかられ、服が汚れても転んで倒れても手を貸す者はいない。買い物袋が重くて運べず、助けを求めても無視される。揉め事の目撃証言をすれば老眼で見えるものかと無碍にされる。子供達に声を掛ければ不審者だと詰められる。若者から理不尽に殴られ、チンピラに園内チケットを巻き上げられ、スリに現金を抜かれる。園内の治療施設に辿り着いても混雑でぶっきらぼうにガーゼだけを渡される。
満身創痍な老人がふらつきながら最後に開いた扉の先は、はじめの真っ白な部屋だった。
老人が怪我をしたあたりから白い部屋オチは想像がついたが、戻ってきた瞬間の演出はゾッとした。
それまでご陽気な遊園地のBGMが流れていた中、部屋が映った一瞬だけ無音。写り方もぐわっとズームアウトする見せ方はビビった。今の映画でこんな写し方もう見ないよなあ。カメラっぽすぎるからかな。
悲しいかな、幾つかの仕打ちは仕方ないと思わざるをえない。
アトラクションへの入場制限は至極真っ当だし、一人で持ちきれない量を買うべきではないし、混雑で適当に扱われるのは老人に限らない。
老人に敬意を、という主張は理解できるし、自分だってそのうち高齢者側になるんだから他人事ではない。
それでも老人への敬意と若者への投資なら後者を優先すべきだと思ってしまう。それはあくまで自分が若者側だからというより、今の日本を生きているからだ。
そりゃあ将来苦労はしたくないけど、世間が老人に冷たいのはそもそもみんな余裕が無いからだ。老人を救う制度や働きかけをする前に精一杯生活をする必要がある。などと50年以上前のアメリカ映画に感想を抱く25歳。哀しい話だ。
ちなみにあまりの悲惨さに制作依頼した側が上映禁止にさせたそうだ。ある意味凄まじいジョージ・A・ロメロ。
若いうちから動き始めてください、というメッセージもあったのでそれは大事だと思う。この先社会がどうなっても、最低限の文化的な生活を送るためには少なからず事前準備が必要だ。
まあ、子や孫に介護させて生き続けるくらいなら元気なままポックリ逝きたいな。負担かけ続けて晩年にはうっすら疎ましく思われながら生涯を終えるとかは避けたい。
逆に自分が介護する側になって、大好きな両親をうっすら疎ましく思ってしまうのではと恐ろしくて不安にもなる。そしたらプロに任せるからね、と言ったら両親は傷つくだろうし……寂しくなってくるなあ。30になったらまた考えるか……。
2024-04-29