激突!

Duel

一度追い越したトラックが地の果てまで追いかけてくる。

激突!

Duel

スピルバーグの最初の映画が怖かったと聞いたので(親に)レンタルして鑑賞。
後からちゃんと調べたら一応映画のデビュー作は『LA2017』らしいけど、公開年はそれと同じなので最初期の作品には違いない。

『ジョーズ』を観た時に「"見えない恐怖"、スピルバーグは日本的なホラーのセンスが光っているネ」とイキった感想を抱いたけど、最初期で既に"見えない恐怖"の到達点をぶちかましていた。

運転中のサラリーマンが前方を走るトラックの排気ガス(ディーゼル車だった)に堪りかねて追い越した結果、地の果てまでトラックに追われ続ける話。最後の最後までその運転手の姿は映らないし、一声も発せられない。まさしく生身の人間が為せる"見えない恐怖"の完成形。

ただただトラックに追われ続けるという構成もおもしろい。
その昔、世にも奇妙な物語で見た『走る取的』なんて完全にこれのオマージュだ。一度絡んだが故にどこまで逃げても延々と追いかけてくる無言の取的。意図が分からない異常者という、日常で最も出くわしたくない種類の恐ろしさ。
それで言えば『ヒッチャー』も同じような系統だけど、あれはまだ異常者の全貌が見えるし何よりコミュニケーションが取れる。噛み合わないけど。
ここまで見えない恐怖に振り切った潔さ、イカす。

猛スピードで煽られ、どうにかカフェに停めて避けたところまでで「この調子でずっと煽られる感じか?」と若干退屈していたけども、きちんと展開の緩急はあった。
一服している間に例のトラックが駐車場に停められているのを発見し、カフェ店内に運転手がいるのではないかと疑心暗鬼になったり。列車の踏切で待っている間に突如後ろにトラックが現れて車体を押してきたり。電話を借りて通報しようとしたらシンプルに轢き殺そうとしてきたり。

この時代だからこその絶望感というか、スマホが無い&広大なアメリカの大地の一本道でこんなのに絡まれ続ける苦痛が想像に有り余る。
運転中にどこかへ連絡はまず出来ないし、電話のあるスポットまで走り続けなければならない。この辺の怖さは『マッドマックス』にも通ずる。この時代の犯罪なんて楽勝なんだろうなあ。
自分は異常者に秒も付き合いたくないので最初のカフェでもう通報させてもらうけど。ナンバー押さえてれば良いでしょう。ナンバープレート6個くらい付いてたけど。

通ろうとする度に飛び出して塞いでくるターンとか腹立ちすぎて発狂しそうだったけど、最終的には勝利するのでスッキリ。原題見て地味に驚いたのはデュエルって激突なのか。デュエルと言えばデュエルしか出てこないけど、確かに激突してるね。
2024-04-12