悪党を撃退したらそのボスに腕を買われ、過激な格闘大会に参加させられる。兄嫁も人質に取られ、負けられない戦いが始まる。
ご飯のお供にチェン映画。80年ってヤング・マスターも公開してたけどどんなスパンで撮ってんだチェン。 今回はラブラブの彼女もいてチェンもどこか幸せそうだ。そして80年にしては既にだいぶグローバル。そもそも監督の名前がゴリゴリの西洋人だけど中国の人ではないのかな? と思って一応検索したら『燃えよドラゴン』『死亡遊戯』の監督だった。神様じゃん。 思えば悪の組織が一般人を格闘大会に強制参加させるってまんま『死亡遊戯』だな。世界観は全然違うからまあ良いか。 舞台は……とりあえず外国。 整体師兼武術家の叔父のもとで鍛錬に明け暮れるチェン(プー太郎)だが、ある日父の経営するレストランに悪党が所場代をタカりに来ているのに鉢合わせる。 屈強な悪党をあっという間に撃退したチェンは悪ボスにその腕を買われ、二週間後に開催される「バトルクリーク・ブロー」への参加を強要される。 もちろん断るが、兄嫁を人質に取られてしまいやむを得ず参戦することに。しかしボスの息子による八百長で戦いは混乱を極め――! 強キャラの設定が濃い。勝ったら相手にキスをする、その名もキス。リングネームがまんますぎる。どんなマッチョ相手でも遂行するのでチェンも食らうのかとニコニコしてたら、最終的にチェンが打ち勝っておでこにチューしてた。粋ですわ。 今回はチェンが真正面から「武術が何の役に立つ」と責められて少し新鮮。確かにこれまでは時代劇だったり職業柄だったりでごく自然に武術家設定を受け入れていたけど、今回の舞台は近代だしチェンはプー太郎だ。そんな直球に疑問を呈されるとは。というかカンフー映画においてそこ突くか。 対してチェンは別に葛藤も苦悩も不安も無くあっけらかんと返す、「これは芸術だよ」。おぉ……。 ま、「身を守れる」て真っ当な返事もしてたけど。いつもの軽いノリの会話の中でさらりと出てきた言葉なだけに、印象的だった。 ブルース・リーは作中この手の問いに精神論を答えていた気がする。武術を教える側の視点だな。リーの場合はガチンコファイトを想定した格闘術だとして、チェンは演舞に近いのかも。武術を使って見せる側の視点なのかもしれない。どうなの監督。 アクションに関しては登場する敵が西洋人ばかりでレスラーだったりボクサーだったり、とにかくカンフーではない技で挑むので全体的に異種格闘ファイトがメイン。 チェン視点だからそう感じたけど、いざ大会が始まるとチェン一人が異質で面白い。唯一のアジア勢かつカンフー使いだし、巨漢に囲まれて体格差が凄い。こんなにウェイトに差があって果たしてフェアなものなのか、大会自体がカオスなので別に良いのか。 ラスト、叔父の安全を把握した直後の切り替えチェンの無双が好き。切り替えてからが大技の連続でテンション上がる。チェン、そんなことも出来たのか。ユンピョウばりの身体能力でウェイト差を補完する顎狙いの蹴り技。ひょ〜。 NG集が無いと物足りない体になってきた。