10年の服役から出所したその日にある一家を惨殺した猟奇趣味の男。実際の事件に基づいた記録。
ポスターが強烈でめちゃめちゃ観たいけどビビって劇場には観に行かなかったやつ。サムネ探す時に気づいたけどこのポスター日本だけかも。やるじゃない。レンタル開始したからようやく観るぞ、へへへ。 いつも通り予告は一切観ていないので冒頭のテキストでゾッとする、『この話は実際に起きた事件に基づいている』。ひえ〜……オープニングでそんな気はしてたけど、ひえ〜。 住宅を拳銃片手にウロウロする挙動不審な男、三軒目くらいのお宅をノックして現れたお婆さんに「撃ちますよ」と告げて発砲。そして男の生い立ちと歪んだ半生が淡々と語られるオープニング。 妙に生々しいのでモデルにした犯罪者がいたのかなと思った矢先、先ほどのテキストである。 「ッ」が多いからドイツ語に違いない。めちゃめちゃ喋りにくそうだしね、ドイツ語。鑑賞後確認したら当たってた。タイトルもドイツ語。制作はオーストリアらしい。オーストリアってドイツ語なの? まあいいや。 実在の犯人とやらはヴェルナー・クニーシェックとのこと。調べた時に知ったけど、この映画は公開から間もなくヨーロッパ全土で上映禁止になったらしい。でしょうなという感じ。 仮釈放後にそのまま留守中の家に侵入する男。障がいのある車椅子の男が一人いたが、しばらくしてその妹と母が帰宅する。男は三人を殴り倒してから息子を風呂で溺死させ、母を絞殺し、娘を追い回して刺殺する。そのまま朝を迎えて三人の遺体を車のトランクに仕舞い、コーヒーショップへ向かう。そこで食事をしながら今度は店に居合わせた全員の殺害を目論むが、そこで警察に目をつけられ事件が発覚する。 さっくり内容書いたけどこの間に余罪がめちゃくちゃある。タクシー運転手を襲おうとしたり移動中に接触事故起こしたり。 不愉快極まりない、理不尽に自分より力の弱い一家族を惨殺している。 作中で繰り返し強調されていたのは猟奇趣味が精神疾患ではないということ。まあそうよね。厳密にはサディズムと言っていたけど、そんな表現ではこいつの場合は生ぬるい気がする。 いわゆる趣味嗜好、あけすけに言えば性癖なわけだから病気じゃない。まともに考える頭と倫理観があって、欲求を抑えるだけの理性が無い。悶々とした時に女を襲うレイパーと同じ。これだけのことをして終身刑だから向こうには極刑が無かったのかな。初犯じゃないし日本なら一発確定だと思う。 日本でいう世田谷一家殺人事件の映画化みたいなもんだと思うけど(未解決だが)、確かに上映禁止にはなりそう。自分が遺族なら製作許可するかなあ……風化して欲しくない思いはあるだろうけど、実際作られたところで観れる気がしない。 いきなり自宅内で襲われて絶叫しない感じとか、目の前を走り回る犯人を呆然と眺めるのとか、本当に生々しくて恐ろしい。普通に生活していてそんな光景、確かに咄嗟に何かは出来ないと思う。 全体通して男のモノローグが流れ続けるけど、一切共感できなくて腹立ってくる。 ホラーもサスペンスも沢山観るけど実際の犠牲者が出るととにかくやるせなくてつらい。犬が生きてて良かった。