PIG ピッグ

Pig

飼っていたトリュフ豚を強盗に攫われた老人。黒幕を突き止めて豚を取り返すため、トリュフの担当営業マンと街へ降りる。

PIG ピッグ

Pig

なぜか絶対にアクションだと信じて疑わず配信で鑑賞。穏やかで優しいヒューマンドラマでした。まあ泣いたけど。たまには良い。

ニコラス・ケイジが愛する豚を攫われ、取り戻すために頑張る話。そう聞いてニコラス・ケイジが暴力で無双する話だと早とちりしたのはもうアクションを見過ぎた弊害かもしれない。
実際はきちんと段階踏んで車移動して対話で解決しようとしていた。

ドラマ要素としては老人の正体がメイン。
山暮らしの孤独で無愛想な小汚い老人、担当営業マンも不潔っぽい扱いをしていた。しかしいざ一緒に街に降りると、老人の妙に広い人脈や街の知識に営業マンは面食らう。そして街の重鎮から彼の本名を聞き出し、その正体がかつての一流シェフ、ロビン・フェルドであることを知る。彼はその昔、極上のディナーで険悪だった営業マンの両親を氷解させた張本人でもあった。豚のため数十年ぶりに街に降り立ったロビンが昔馴染みを訪ね、妻の記憶に触れ、知らず救っていた少年の心を解していく。

しかし豚が助からないとは。これブーちゃんがちゃんと戻ってくるハッピーエンドだったら母にも勧めようと思ってたのに、最後にめっちゃしんどい思いさせるじゃない。ええ〜……何ぃ〜……。
一人ぼっちの山小屋で生前の妻の録音を聞くラスト、寂しい。営業マンと別れる時の「また木曜に」だけがまだ救い。営業マンも営業マンでその後車ですぐ帰るでもなく、シートにうずくまって一人思い詰める姿が印象的。あれこそ共感した、自分もああなると思った。

全て上手く解決したわけではなく、それらのきっかけが一斉に動き出しただけ。動き出しただけだけど、そこからそれぞれがどうするかだろう。なのにそれほど影響を与えていった老人が最後には豚を失って山へ帰るのが……何というか自分もぼんやり思い詰めそうだ。

でも営業マンと老人の間に確固たる絆が生まれたのが一番大きな変化だろう。家族を失ったけど親友に出会えたんだと、思うしかない……。
2023-11-08