アパートの地下で死の書を見つけ、死霊を復活させてしまった一家族。母をはじめ、一人また一人と変貌していく。
はぁぁとても暗い気持ちになった……子供ができてもこれは見せられない……悪い夢みたいな話だった。ほんと、怖いとか不快とかっていうより悪い夢……昔の三作好きだけどここまで恐ろしくしろとは言っていない。 メインは取り壊し迫るアパートで貧しくも楽しく暮らす家族。ヤンママにDJな長男、ボーイッシュな長女、天使のような次女。相談がてら遊びに来たヤンママの妹。基本的にヤンチャなメンバー。 ある日深夜の地震で駐車場の地面に出来た亀裂から、地下金庫室の存在に気づいた子供達。好奇心で侵入した長男がそこに封印されていた死の書と三枚のレコードを拾ってしまう。帰宅後自前のターンテーブルでレコードを再生すると、吹き込まれていた死霊復活の呪文が流れてしまう。最初に母親が取り憑かれ、悪夢が始まる――。 取り憑かれっぷりがおぞましい。昔の死霊もインパクト凄かったけど、これはもうエンタメどころじゃない。見た目がわかりやすくゾンビになるわけでなく、割と原型保ったままおかしくなる。でも一度見たら頭にこびりつく容貌の変化。 何よりシチュエーションが可哀想。子供達からしたら唐突にお母さんがおかしくなって死んでしまい、助けも呼べないまま(エレベーターが壊れて非常階段もロック)自宅に置いていたら次には異様な様子で殺しにかかってくる。死なれた時点で相当なショックなのに、何かがおかしい不安感で部屋から出られない……胸が痛い。 お母さんを外に閉め出しても、同じフロアの住人がことごとく惨殺されていくのもむごたらしい。 またキツいのは死霊が伝染していくシステム。きっかけは曖昧だけど、お母さんを追い出してようやく一安心したところで長女が死霊に取り憑かれる。もうこの辺りからこのお話に救いが無いことを察す。長女もしぶとく復活して次は長男が取り憑かれる。いよいよ一人ぼっちになる小さい末っ子が本当に可哀想でしんどい。まだ叔母がいるから良いけど、子供の頃見たら感情移入しすぎて確実にトラウマになる。 叔母は一番頑張った。ていうか週浅めとはいえ妊婦というのがまた。 やっと脱出できたと思ったところで末っ子だけ中に引き戻されるのは絶望演出すぎて良かった。最後の親子三体キメラも最悪すぎて良い。ほんと子供に見せられない。 死霊の飛び回る視点は昔の三作から引き継がれていて嬉しい。森じゃなくて街だね。エレベーターから血の洪水はシャイニ◯グだった。 あとはみんなビジュアルがハイレベルでキツい演出も耐えられた。お母さんとか美人なんだけど迫真のホラー顔が絶妙すぎて見事。長女も元々ボーイッシュだったけど死霊化した後がカッコ良すぎてちょっと思考奪われた。ドア突き破って血みどろでニヤリとしたあたり、すーごいかっこいい。そして末っ子、可愛い子役は沢山いるけど今まで見た中でトップレベルのビジュアルだった。お人形さんみたいとはこういう子を言うんだろう、大人が二度と手に入れられない透明感に満ちてらぁ。今後何かの主演を張ってくれると信じる。多分ネル・フィッシャーという子。 ひたすら長男が戦犯でしかないけど、あのまま生き残っても多分罪悪感でどうにかなるから結果良かったのかもしれない。新作恐ろしや。 鑑賞後電話したくなる不安は与えられた。