水の枯れた国サンドランドにて、民を救うため村の保安官が魔物の力を借りて共に幻の泉をめざす。
お誘いを受け初・劇場版鳥山明!! 全く一ミリも原作を知らないけど鳥山明なら大丈夫という安心感。 水が枯れた国で幻の泉を求めて保安官と悪魔と魔物が旅に出る、マッドマ◯クス的な世界観。む、マ◯ドマックスの方が先か。でも北斗の拳は更に先だ。やっぱりこの世界観はハズレなしということか。 とにかくこんなに平和で穏やかなお話を久しく観ていなかったのでかなり心が浄化された。悪人は純粋な悪人だし、善人は純粋な善人だ。そうそう、鳥山ワールドは純粋だった……とても心洗われました。 ていうか映像すごい。邦アニメで本格的な3Dは未体験だったけど、鳥山タッチを忠実に再現するとはえげつない。360度どの角度から見ても上手い具合になるのは、単純に元々の巨匠の空間認知力というかパースというかキャラデザインが完璧だからということなのだろうか。CGチックな3Dアニメは苦手だけど、これはガッツリ2D効果の本当にイラストっぽい映像で堪らない。凄まじい。 キャストも豪華、まさかの保安官が山路氏でテンション上がる。ジェイソン・ステイサムそっくりの吹替えにはいつも助かっています。爺様はチョーさんだしこれぞ劇場版。 そうそうお話。全く知らないからこそ展開が読めなくて楽しい。序盤までいつもの物騒なテイストの映画のつもりで観てたから、悪魔が「おれのワルを聞いたらびびるぜ……昨日は歯も磨かずに寝てやった」って聞いた瞬間に「や、やさしい〜〜!(世界)」と感激した。こんなにかわいらしい世界線があったか。 悪魔は悪い奴ではなかった。お父さんの大魔王も優しいお父さんだった。ちょいちょいショッキングな表現も挟まるけど、必ず手厚いフォローが入る。山路保安官が「私は人を殺した」って言うけど戦争の話だし、冤罪の種族を攻撃で絶滅させたけど生き残りが繁栄してたし。過激さと穏やかさのバランスが絶妙で全年齢で良い。 個人的には保安官の元軍人スキルが大好き。戦車の扱い細かいとことか、武器の扱いや戦略が地の利を活かしたガチ戦法なとことか。戦車のターンだいぶ良かった。金属探知機に対して釘爆弾炸裂……からの距離ガン詰めで砲台を敵戦車にゴツン。敵戦車がぐるりと砲台を向けても車体が遮って向けられない……! 痺れたなあ。これが伝説の将軍……いや伝説の将軍って響きだけでロマンだわ。保安官は最後までカッコよかった。 さすがというか戦車の作り込みすごい、パンフレットの解体図が本格的で面白かった。パンフでいえばスライムは死んでしまうらしかったけど映画化の際に存命ルートにしたらしい。存命イラストは鳥山明が書き下ろしてくれたという地味にすごい話。スライムぜん〜ぜん注目してなかったからちょっと勿体無い。でも多少の平和テイスト改変はあったのか。ドラゴ◯ボールでも結構爆散したりしてたしな。 そして原作について、実際はもっととんでもなく長い壮大なストーリーなのかなと思ったら一巻完結の作品だったらしい! じゃあほとんどストーリーはそのままなのかな? アシスタントなしで描いたんだって、とんでもないな。 エンディングは今まで観た中でも屈指の良さ。なぜならとてもスッキリしている。スタッフロールが流れている間は”その後”の各キャラの様子が鳥山原画で次々流れる。最後の原画はぬるりと3Dに戻って、そのままエンディング後映像。そして完。もう全ての映画これでいいってくらいスッキリ構成、お子さんも最後まで飽きずに見てられるスタイル。分かってらっしゃる。 エンディングテーマは我々よりさらに年下のimase。2000年の漫画だからいよいよ世代でないだろうけど、そんな時代になったんだなあ。感じられたimaseの熱意……。ちなみに我々は日曜ONE PIECEの前にドラゴンボ◯ルがやっていたのでセル編までは割とガッツリ履修している……。