プー あくまのくまさん

Winnie the Pooh: Blood and Honey

クリストファー・ロビンに捨てられたプーたちが飢えに苦しみ共食いし、人間への復讐を誓う。

プー あくまのくまさん

Winnie the Pooh: Blood and Honey

出かけたついでに鑑賞。プーさんのホラー映画って聞いたら見る見る。

メインはプーとピグレットで、個人的お気に入りのティガーは登場しなかった。イーヨーは食糧になってる。ていうかピグレットって豚だったんだ〜ウサギ的な何かかと思ってた。名前の感じも確かに豚だね。でもあのルックスで豚って分かりにくくない?普通はおデブで耳の垂れた豚鼻強調のデザインにならない?カルチャーの違いかなあ。

年齢制限付きのホラーなので少なからずゴア描写があるはずなんだけど、周囲にカップルや女子3人組がいたりしてちょっと心配になった。案の定キルシーンはグロテスクな演出が多くてやっぱり心配になった。機械でミンチにされたり頭潰されたり目玉がポロンしたり……。
でも恐怖演出はそこまで鬼畜じゃなくて、いきなり現れるにしても前振りや段階があって本気で心臓潰しにくるスタイルではなかった。キルシーンもいきなりグチャ!ってよりはじっくりじわじわな見せ方が多かった。優しいのかなあ。

でも演出でグッときたのは全然ネタバレだけど車から引きずり下ろされた友達のターン。運転席から朦朧とした意識の中で、髪を掴まれ強引に連れられていく友達をぼんやり眺めていたら。プーが振り返ってゆっくり手を掲げる。その手には髪を掴まれた友達の、頭だけ……。
こわーーい!この見せ方はゾワッときた。それまで人間を捕まえたらいい感じの処刑場まで連れて行ったり拷問で生殺しにしたり、やたらと時間をかけるタイプのキラーだっただけにここのヌッと見せる即殺はインパクト大だった。やられたのも親友っていう重要人物だったからこそ一番呆気ない最後というのがむごい。人の命は儚い。

ストーリーについて、クリストファーがメインで逃げ回る話かと思っていたので少々意外。オープニングで帰省したクリストファーとその恋人があっという間にやられてしまいタイトルカード。ええっ主人公じゃないんだ!とちょっと驚き。過去のストーカー被害でPTSDに悩む女子が、セラピーも兼ねて友達5人と山奥のコテージで休暇を取る話。ヒトの気配を感じたプー&ピグレットが問答無用で彼女たちを一人また一人と惨殺していく。
クリストファー退場でびっくりとは言ったけど実は生捕りにされていて拷問を受けていた。女子5人がメインキャラという時点で男キャラいないのか……とシュンとしていた身としては嬉しい。でも男キャラ一人しかいなかったな。寂しいもんだ。

諸悪の根源は不用意にプーたちの世話をして無責任に地元を出たクリストファーのせい、ということだけど。最後の最後で青年クリストファーが説得(命乞い)する時に血と蜂蜜とヨダレでベロベロの巨人プーに「ずっと一緒にいよう」って語りかけるのはグッときた。なんか闇が深くて良いわ。

ピグレットのビジュアルは標準ホラー顔だけどプーの方はなかなか凄い、怖い。笑ってんだもん。ポスターの陰影の感じが一番怖いけど、普通にあのマスク被った巨体が庭に突っ立ってたら気失うわ。
どう見てもマスクだけど皆「なんだアレ、人間じゃない……!?」て速攻解釈しててなんとも。設定に逆らったとしてもマスク扱いした方が現実味あったような気もする。普通にブルルン!て車運転し始めたところは不意打ちすぎて笑ってしまった。器用だな。

程よく怖くて割とエグい、エンタメ的には楽しいホラーだった。
2023-06-24