RRR

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イギリス植民地時代、部族の少女奪還のため都市へ潜入する男と、その男を捕まえて昇進に燃える警察官。互いの正体を知らないまま親友となってしまい、奪還の日は迫ってくる。

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日本で空前の大ヒット『バーフバリ』が全然ハマらなかったのでインド映画及びこの監督作は合わないなと思い、スルーしていた今作。友人が興味持っていたのでその機会に鑑賞。

『バーフバリ』でハマらなかった構成やミュージカル部分がごっそり取っ払われてワクワクのハリウッドテイストに! つまり面白かった。3時間と長尺だったけどずっと愉快なテンポで楽しい。

そも前作で何が合わなかったかというと、妙に冗長なミュージカルシーン・混乱のタイムスリップ構成・激アツアクションまでのなっがい助走(あんまり長いので鑑賞中断していた)・面白みが無くそれほど魅力に感じない主人公。軒並み大絶賛なのは激おもろ評判を聞いてその大前提で最後まできちんと観た人々の意見だろうと思う。とりあえず期待値云々関係なく興味本位で見ただけの自分には序盤のイチャイチャミュージカルの長さで既にリタイアだった。あとはジャンルがガッツリ時代劇だったのも内容お固めで合わなかったように思う。日本でもるろうに剣心ぐらいしてくれないと観ないのだ。

それが今回はサクサクでワクワクのアクション映画で好きなジャンル。音楽はずっと鳴りっぱなしだけど歌うシーンは重要なところで絞り込み。それも流れのある展開の中での歌なのでいわゆるミュージカルみは一切なし! 見やすい。あとは主人公が超魅力的。ワイルド野生児とセクシーポリスでキャラも分かりやすい、そしてハンサム。自分はポリス派です。
アクションはしょっぱなからややファンタジーで(その人数差・武力差で無双するのは漫画やろ的な)それが逆に「この映画はこのくらいの漫画っぷりでアクションしてくれるんだ!」という心構えにもなった。ロマンだ。

舞台設定もゴリゴリの時代劇というよりは少し現代に寄って、インドがイギリスの植民地として支配されていた時代。まだこの時代の方が背景分かりやすいし、情勢が極端だから各キャラの立場や思惑が整理しやすい。

ストーリーに関して、普通に展開が面白いんだけど何よりこの時代背景を受けてのインド勢の気高さに泣けた。
まず自分が「抑圧からの解放」系にめっぽう弱いので全体的にずっと泣いた。なんならオープニングから泣いてた。ワクワクアクション愉快テイストだけど背景は割と暗いものがある。開幕インド人少女の人身売買だしね。

そんで展開の面白さ! 王道で熱いストーリー。
敵対する立場にある二人の主人公が互いの身分を隠したまま出会い、互いを疑わないまま親友になって前半ラストで取り返しつかないレベルの決別。後半からポリス側の主人公は上に命じられるまま親友を痛めつけなければならず、見せしめの拷問に死刑の執行。しかし死刑直前にポリスは組織に反旗を翻し、命懸けで親友を逃がす。親友は無事に少女を取り返して逃げ延びるが、ポリスへの誤解は解けないまま……。捕らえられたポリスは反逆者として死刑が確定してしまう。執行の日が迫る中、逃亡先で親友はポリスの真意を知る。

久々に少年漫画を読んだかのような熱さ。最近はマニアックで悪趣味でバッドエンドで尖った映画が崇高でツウかのような扱いだったけど、こんなふうに真っ直ぐでエンタメで燃えるようなストーリーで十分。友情・努力・勝利で十分。
言葉の通じない白人貴族との恋、芸術への教養の無さをバカにされてからのナートゥダンスの猛攻、豪快な突入作戦……。要所要所で楽しい展開。

ピックアップするならばまずはやっぱりナートゥ、ただただダンスがキレキレでかっこいい。インド映画のダンスといえば大勢で民謡に合わせて愉快なソーラン節を繰り広げるイメージだったけど、今回は音楽もかっこいいし高速ダンスのスキルが圧倒的。サビ前のネクタイクイっ!とジャケットバサっ!でぶち上がり。そこから急な正面定点は若干奇妙だったけどインドイズムは感じた。着飾った白人貴族たちがどんどん参加してきて大所帯ダンスになるも、高速ダンスのしんどさに次々ギブアップ。主人公二人と最後まで対抗した意地悪白人も転んでアウト。残るは二人だけになってからのギアチェンジする感じもカッコよかった!楽しい。相当な稽古を積んだに違いない。

もう一つ上げるなら個人的に一番グッときたシーン、裏切られて捕まった野生児が見せしめの鞭打ちを受けるところ。
街のインド人を全員集めた上でのこの拷問、跪かせろという貴族の命令にポリスは無心で鞭を打つ。が、気高い野生児は決して膝を、つかない……!もう自分は泣いている。そして血まみれのまま野生児は歌を歌い出す。「この苦しみに耐えられないなら、この痛みに跪いて命を乞うなら女神の子ではない」もう大号泣である。旋律が美しいんだこれまた。民衆とポリスに確かに響くんだこれが。ただでさえ抑圧からの解放がブッ刺さってるのに、真の信仰にも弱いから大大号泣だ。

ポリスがまだ少年なのに銃を持って人を撃たなければならなかったとことか、目の前で母親が撃たれたのに駆け寄ることも出来なかったとか、そんな仕打ちをした白人たちの組織に目的のために忠誠を誓って命を懸ける鋼の精神とか。ポリス側の境遇も感情移入しすぎて割とずっとポロポロ泣いてた。考えすぎちゃうのよなあこれ系は……。

全然エンタメ激アツ漫画アクションだけど、背景はガッツリ暗い歴史が絡んでいて想像以上に泣かされた話だった。最後ワイルドとセクシーのビジュアルが大逆転状態になるのは面白かった。楽しい。
2023-05-01