ラバーボーイ

割と評価高いホラーが配信されているので観てみる。ポスターが結構怖かったのも期待値高め。

ラバーボーイってラバー素材のマスク被ってるボーイかと思ったけどどうやら「イケメンくん」て意味らしい。ちゃんと調べたらLover boyで「美男、色男」らしい。へぇ〜〜。初めて知った。

少年期に一軍女子に揶揄われ、衝動のまま相手を殺害して以来女性に対して強烈なコンプレックスを抱き続ける中年男。そいつがどっぷりハマっているポルノサイト『ガールハウス』にある日現役女子大生の新メンバーが現れる。その新メンバーに一瞬でぞっこんになった中年はハンドルネーム『ラバーボーイ』として接触するが、彼女が思い通りにならないことに鬱憤を溜めていき、やがてそれが爆発する。ガールハウスの惨劇は生配信で全リスナーへ……。

オープニングで少年期のショッキングなシーンが流れた後、暗転して「異常者は大概ポルノにハマっている」的な名言が映るけど、引用がテッド・バンディでちょっと驚いた。売春婦を何人も殺害した上で弁護士を雇わず自分で自分を弁護した天才シリアルキラーでしょう。映画化したけど結局観てなかったな。こんなこと言ってたんかい。どんな境遇どんなコンプレックスだろうと理不尽に人を傷つけたら同じ目に遭わなきゃいけないよ。

それはさておき主人公はポルノデビューした女子大生の方。父親を亡くし奨学金の借金もあるため、意を決してポルノの世界へ。大学通いながらこれやるんだよな、強靭なメンタルだ。
ポルノの世界をよく分かってないだけかもしれないけど『ガールハウス』は結構画期的なシステム。文字通り大きな屋敷があって、そこに所属のポルノ女優たちが一緒に暮らす。ほぼ全ての空間にカメラがあり、ハウスの様子は24時間垂れ流し。更に女優は一人一台PCを持ち、好きな時に好きな場所でセクシーな配信を開始する。リスナーがコメント出来るのはその配信で、プライベート希望と言えば一対一でのやり取りも可能。"お客さん"として男性が出入りすることもあり、もちろん本番も配信される。メンバーの中にはレズカップルもおり様々な需要に応えている。ここに新人女子大生の主人公は通学しながら帰るわけだ。ストレスでおかしくなるわ。

シャワーも寝室もカメラがあって仕事でも気が狂いそうな環境だけど、設定だけ見たらリスナーにとっちゃ夢のようなコンテンツなのかもしれない。やってることは恋愛リアリティショーと大差無いのかな。知らんけど。
プライバシーの無さそして先輩女優たちの倫理観のぶっ壊れ具合になんとも言えない気持ちで観てたけど、これ全員イケメンだと考えたらなるほど夢のような設定だ。素質の光る大型新人が主人公でしょ。面白いじゃない。最近は面食らったらそう置き換えて監督に寄り添おうとしている。

設定に感心しつつも、後半からは拗らせたストーカー大男がガバガバ警備のガールハウスに侵入して殺戮ショーを繰り広げる血みどろ展開。一人一人のキルシーンが割とむごい。主人公の彼氏とその友人が配信で事の重大さに気づき、どうにかしようと奮闘する。
女優の安全のためガールハウスの住所は一切機密だったためなかなか助けが呼べないスリル。乗り込む前に運営本部を先にやってくる周到さも相まって、すけべな視聴者はただただ延々と凄惨な殺人動画を見せつけられる。全国配信ということだったけどアジア代表で東京の課長風おじさんが映ったのはちょっと嬉しかった。仕事せい。

犯人のインパクトも結構良かったけどそれよりもガールハウスの舞台設定が面白かった。と思ったら原題もガールハウスの方だったし、そっちがメインらしい。パッとみてスラッシャー系ホラーのイメージにはならないかも。
こんな設定なのに主人公は頑なに胸を映さないのはキャリアがかかってるからだろうか。鉄壁のガードだった。