死霊のはらわた

The Evil Dead

ボロボロ山小屋に泊まった若者5人が死霊を復活させてしまい悪夢が始まる。

死霊のはらわた

The Evil Dead

サム・ライミはホラーの人というイメージがあったけど、実際には観たことなかったので有名どころを鑑賞。このタイトル『悪魔のいけにえ』と超被るわ。

設定、舞台、キャラクター非常にシンプルだけど要所要所に新鮮な展開があって楽しい。そしてこの年代ならではの味も良い。
山奥の激安オンボロコテージに泊まった若者一行がそこで死霊を復活させてしまい、次々取り憑かれ殺されてしまう話。

コテージの以前の持ち主だった考古学者が死霊に関する文献を研究し、復活の呪文をレポートと共にテープに吹き込むというはた迷惑な行為が発端。何も知らない若者たちが興味本位でそのテープを再生してしまい、うっかり死霊が蘇ってしまう。この辺の"残された手記(テープ)"要素はこの間勉強したゴシック・ホラーに通ずるお約束だ。

それにしても女3・男2の割合で女3人の方からやられていくのは予想外だった。これまたゴルノのお約束で生き残るorしぶとく戦うのは穢れのない女性というパターンが多かったんだけど、今回においてはむしろ唯一恋人のいない女子からやられる。あまりにも珍しいのでこの子が森で襲われても死霊に取り憑かれても「まあ生き残るっしょ」という気持ちで観てた。それまで主人公っぽい視点だったしね。まあそれよりも男2人が残るっていうのが更に更に珍しいけど。サム・ライミ、非王道を描きたかったのか。

最後の女子がやられた時は「ええー!」と思ったけど、例の考古学者も妻が死霊に乗っ取られたって言ってたから女性に憑くもんなのかな? と考えた。が、普通に終盤男子にも憑いてたから関係無かったようだ。

死霊化のビジュアルは気合入ってた! 白目は役者が頑張ってやってるのかな。目玉ひっくり返ってると思うと怖くて出来ないのだが、水中の開眼といい役者は凄い。
第一死霊化は思わぬタイミングで勢いあって良かった。兆候あるとかじゃなくていきなり変わるんかい。襲われた側もしっかりとした暴力で抵抗するから「あ、この取り憑かれた体はもう助からないのか……」と妙な寂しさを感じた。

だがしかし。ちょっと弱いなー死霊……。森の中をビュンビュン徘徊している死霊の親玉は強いようだけど、操ってる死霊化人間の方は割と弱い。殺しには来るし見た目もインパクトも恐怖だが、頑張れば勝てる。体をバラバラにしないといけないようだけど、それも斧一本あればこと足りる。あとはかつて友達・恋人だった相手をバラバラに出来るかというメンタルの問題くらい。意気地の無いメンズはそのせいで何度も襲われて鬱陶しい。

それでもなんだかんだ閉鎖空間×恐怖の対象ってシチュエーションはやっぱり楽しい。恐怖の対象が実体ありのゾンビと超常的な霊っていう組み合わせだとか、恐怖対象が一体だけでなく増えていく感じだとか、男が生き残るとか。絶妙に新鮮な要素があってエンタメ的に良かった。

関係ないけど目だけ映すカット多いな。何回あったんだ。緊迫の場面だけでなく恋人同士がイチャイチャする時もめっちゃ挟んでくる。流行ってたのかな。ライミの中で。
2023-05-02