酒の勢いでボートを盗み、海のど真ん中で転覆した学生5人。動かないボートの下には人喰いザメが泳いでいた。
お気に入り『海底47m』のチームが今度は『海上48hours』を出したので観る。何か時間開けずにタワーの上に取り残される話も出してた気がするけど物凄いスパンだ。楽しそう。 絶望演出に余念は無かったけどこれまでのに比べるとパンチは普通だ。割とよくあるサメ映画というか。監督違うしなぁ。 学生生活最後のバカンスに海へ訪れた若者5人、最終日にモーターボートをくすねて沖へ爆走。引き止める優等生一人を除いて酔いどれ状態だった若者たちはとうとう事故を起こして遭難。海のど真ん中、ボートの上で負傷した仲間を抱え、助けを待っていたらサメの影が現れる……。 特に目新しい展開は無く。勇敢にも一人で助けを呼びに行こうと遠泳を開始した黒人青年、彼がちゃんと生き延びてたら良かった。生き残ってよ……第一被害者が黒人だったら許さないぞ……と思ってたら第一は怪我人の方で黒人青年は第二被害者になってしまった。無慈悲。 主人公の優等生女子は非常に優秀で良かった。常に冷静で勇敢で力強い。何より人を思うことが出来る。開放骨折でもう無理だろってレベルの怪我人でもちゃんと助け出そうと泳いで行く。その流れでめちゃめちゃ怖い目に遭ったのに、その後も折れずに必要があれば海へ飛び込む勇気。 無惨な土左衛門が流れてきて「誰がライフガード取る?」って訪ねた時に主人公以外ポンコツだった時のリアクションが好き。ギャルはともかく彼氏、男を見せなきゃダメでしょう。この彼氏がどうしようもなくて腹立ってくるけどそれも味だ。全員善人でも面白くならないものね。でも全体的にこのクズ彼氏・カナヅチギャル・優等生の三人のサバイバルがメインでちょっと物足りなさはあった。もう少し他のメンバーも見たかったな。二股バレてから会話も少なくなっちゃうし。地獄っぷりは良いけど。ていうか泳げないっていうのを盾にボートからテコでも動かないのなんか後から腹立ってきたな。優等生にはなれないだろな。 キルシーンもこれまでのバラエティ豊かなパターンの後に観ると一辺倒だ。そりゃシチュエーションが"海"と"ボートの上"しか無いから仕方ないっちゃ仕方ない。海で食われるかボートから食われるかの二択しかない。順番に似たように食われていくだけなのでその辺若干不満だ。 しかし「これもう無理でしょ……」感を煽るのは相変わらず良い。先ほどの開幕開放骨折もそうだけど、残り二人になった絶望っぷりは良かった。諦めつかない絶妙さがしんどいわよね。でも最後はボートの修理でどうにかしたからやっぱり最後はエンジニアが勝つ。悲しいのはこの「ボートを直す」って根本にもうちょっと早く挑戦していればってとこよね。割と序盤から諦めて助けを待つって発想に縛られてるうちにやられていったんだもの……よくあるからこそ怖い。 エンタメ、恐怖値的には物足りなかったけど、今までで一番"ありそう"な状況っていう点では辛かった。怖いというより悲しい。サメは分からないけどこれまでこんな風に遭難して海上で亡くなった人々がいると思うと、悲しい気持ちになってしまった。 瀕死な彼氏に寄り添って呟いた「私はカンザスの女よ」「死ぬまで戦うわ」はホロリときた。かくありたい。