ブラックアダム

Black Adam

古代から復活した勇者、現代の民衆のため暴力の限りを尽くす。 正義の味方が止めに来るけど黒幕も復活しちゃう。

ブラックアダム

Black Adam

DCだけどなんだかんだバタバタして見過ごしたやつ。レンタル開始したのでちゃんと鑑賞。DCは壮大な続きものが特にないので気楽に観れる。

それにしてもめちゃめちゃMARVELの記憶と混ざる。DCなんて間に『ザ・バットマン』挟んでるし、今回のユニバース的にはスーサイド・スクワッド2の辺りか。それもう二年前じゃん。
古代オープニングで「エターナルズ絡むんかな……」とか巨人化で「アントマンとモロ被りだけど大丈夫か……」とか巨人フェイスマスクで「あまりにもデッドプールだな……」とか台風発生少女で「ストームの弟子かしら……」とかアダム輸送先で「ワカンダかな……」とか。極め付けは魔術師登場で「お、ドクター・ストレンジの仲間ね」とマジで思ってしまった。もうMARVELに染まっちゃってダメだ。

演出・デザイン・能力が被ってくるのはもう仕方ないかもしれないけど、もう一通り出尽くした感あるなあ。黄金翼リーダーもぶっちゃけファルコンだし。
JSAチームのキャラクター発表も特にワクワクせず。更にいえばあんな風に一人一人最初に紹介しちゃうのはイマイチ盛り上がらない。「能力はバトルが始まってから披露するよ!」な演出も、チーム発表がマジで地味な人物紹介になるだけなので何とも。
すなわちほぼ新キャラ固めの今作で特にハマったキャラがいなかったのが若干惜しかった。かろうじてロック様が好きという気持ちくらいだ。

とキャラクターに上がらなかった感想だけど、ロック様のキャラが良かったので普通に楽しかった。ロック様が良い、ただそれに尽きる。弱きを守り強きをくじく。拳と殺意で。
物騒な登場だったけど割と早い段階で現代少年と打ち解けて心を開く。数世紀前の人間なのに普通に英語喋るんだなとか突っ込むのは野暮だ。今回ロック様の立場が「民衆の自由を手に入れるためなら悪党を虐殺して良し」という過激思想で、正義の味方JSAに止められるという感じ。で、ロック様の封印・悪党の成敗・黒幕の退治の三つ巴。一番平和的な解決にはどうしたらいいの〜という葛藤要素。

別に良いんだけどハッキリと「こういうダークヒーローがいたっていいじゃない」てなセリフ、ん〜〜〜微妙。ちゃんと『ダークナイト』を観たのかこの人たちは。クリストファー・ノーランが一旦完成させた"ダークヒーロー"の定義を同じユニバースでMARVELみたいなことして上塗りするたぁ。ん〜〜なんだかなあ。それも過去一暗かったパティンソンバットマンの後でね。ん〜〜。バットマンがよぎるとセンシティブになってしまうわあ。

なんて唸っときながら、ロック様の息子には感服。やっぱり真の英雄は彼だよ。死の世界で父と再会した時に「人々はヒーローを求めてる」という父の泣き言に対して「違うよ、みんなずっと"自由"を求めてる」と返せる、その度量。そうよ、民衆の願いはただ一つ。救世主は一人じゃなくて良いし、皆が立ち上がればそれが自由への一歩になる。最初から息子はヒーローになりたいからではなく、人々を解放させるために戦った。そもそもの芯の強さと視野の広さが違ったよ。聡い子だ息子、彼が生きてた世界線も見てみたかったな……。

グッときた部分もあったけど、ちょいちょい挟むギャグシーンが絶妙に流れを外しててちょっと白けてしまう。今この流れボケるとこじゃないだろ、とかまだロック様ハジけるキャラじゃないだろ、とか。音楽もね。難しいもんだ。コミカル要素はジェームズ・ガンに頼もうやい。
とりあえず主役ロック様で良かった。
2023-04-22