ある夜、白いバンに衝突され盲目となった娼婦。事故に巻き込まれ身寄りを無くした少年と暮らし始めるが、白いバンは地の果てまでも追いかけてくる。
ダリオ・アルジェント新作出したってよ。今何歳よ。しかし『サスペリア』が良かったので気になりまくり、チネ・ラヴィータで鑑賞。 サスペリアみあった〜! 音楽がもろでテンション上がった。全編、音楽がもろでした。 ゴリゴリのイタリア映画で当たり前だけど全員イタリア語。全〜然耳馴染みが無いのも新鮮。しかし主要キャストには中国勢も。 意外とホラーではなくしっかりスリラー。変質者が永遠に追いかけてくる系。連続殺人だからシリアルキラーかと思いきや主人公に私怨を抱えるストーカーであった。 ひたすらに不運な主人公。ローマにてコールガールで食い繋ぐ日々だったが、ある夜ハズレ客に当たりどうにか切り抜けて車に乗り込む。そこへ不審者が襲い掛かり、発進後も白いバンで追いかけてくる。とうとう後ろから衝突され、中国人家族が乗った車を巻き込んで大事故に。主人公は両目を失明し、中国人家族は10歳の息子1人残して亡くなってしまう。白いバンは逃げ去り犯人は追えず。 だいぶしょっぱなで絶望的な展開、可哀想すぎてここからスリラーが始まる=死人が出るというのが本当に嫌になった。始まる前から主人公サイドに同情しすぎるとこうなるのよね……ここから更に怖い目に遭わせるなんてひどいわ……ていう。 主人公は自分も被害者とはいえ少年の両親の命を奪ったことを気の毒に思い、養護施設を訪ねて贈り物を置いていく。初めは拒絶していた少年も主人公の心遣いに絆され、施設を抜けて主人公宅に転がり込む。視覚障害サポートの介護士さんと少年と、三人で平穏な暮らしを始める中で事態は動き出す。 施設に戻りたがらない少年を黙って匿っていたため警察に追われ、かつ仕留め損なったことを知った犯人に追われる。なんだかんだ警察まで犯人に葬られ、主人公と少年は地獄の底まで付き纏われる。 うーん、少年が全然有能ムーブをしない。こういうのって少なからず少年が活躍する系だと思うんだけど、主人公の歩行サポートするくらいでそれ以外は全く役に立っていない。役に立たないぐらいならまだしも、ことごとく事態を悪化させていく。別に子供なんだから良いんだけど、足でまとい展開が続くとどうなるかというと、全然好きになれなくなる。良くない。 犯人呼び出しちゃったのはまあ仕方ないとして、死んでほしくない人が殺されてしまってショックと心細さで泣き出す主人公に対して「お母さんに会いに行きたい」は流れ的に意味わからずちょっとイラッとした。なんだそのタイミングは。というか言い方。イタリア語の抑揚なのか子役の演技力なのか知らないけど、この少年終始真顔で声張って淡々と自分の意見を述べやがるので切羽詰まった状態だと段々イライラしてくる。最近思い出したキー・ホイ・クァンだって中国勢だけど表情豊かで超かわいかった。演出なら仕方ないけど。ああ大人気ないな自分。でも足でまといポジが明確な映画って最近あんまり無かったしな。 サスペンス要素で言えば犯人の正体探しについては割とバレバレだった。なぜなら犯人絡んでくる序盤のシーンがストーリー的にそんなに意味が無かったからだ。あのシーン何のために挟んだんだ……と思ってたから途中から「あっアイツが犯人っていうビックリ展開か」と察し始める。でもまあ割と早い段階で顔も映ったし犯人探しというよりスリルを楽しむエンタメ重視だったんだろう。 後天性の盲目だから主人公の立ち回りが本当に不安げでおぼつかなくて胸が痛くなる。その辺心細さと恐ろしさは人一倍だろう。真っ暗になるシーンもっと挟んでも良かったかもしれない。何故なら我々には丸見えだからだ。 寝室で不意打ちに現れたシーンが一番ビビったけど油断してジュース飲んで置くとこだったから若干見るの遅れてしまったのが勿体無い。 しかし変質者の最後はちょっと物足りなかった。一撃とは。 主要キャラとしてワンちゃんが大活躍だったけど、サスペリア観た後だと何となく繋がりを感じられて感慨深い。サスペリアの盲目先生は盲導犬に裏切られて殺されたけど、こっちの盲導犬は主人公を守り抜いたね……。目が見えない恐怖演出に可能性を見出して今回みたいな話を作ったのかもしれない。にしても首肉食らう描写は完全一致で笑った、なんだそのこだわりは。格段に肉描写はレベルアップしてるけど。盲導犬肉までは食べないだろう。 とりあえず強くなくて目が見えない主人公って可哀想すぎてしんどくなってくる。そこに子供っていうハンデの与え方はちょい違う気もする。かつそのハンデ与えるならもうちょい有能ムーブが必要だ。 なんだか微妙な感想になったけど全体通して常に不安感がある感じは良いと思う。音楽も素敵だし。ゴシックホラーな雰囲気とスリルのエンタメを味わうには良い。