予告で気になってたけど多忙により見逃したやつ、星4つで配信スタートしたので早速鑑賞。
サスペンス? と思ったけど結構ホラー。ただし恐怖映画ではない。
80年代のとある長閑な町で少年たちが次々行方不明となる。それらが同一の誘拐犯であることが分かってくるも、手がかりは掴めず一人、また一人と姿を消していく。
ある日とうとう主人公の少年も誘拐されてしまい、目が覚めるとそこは完全防音の地下室。そこには電話線の切られた黒電話があり、時折鳴らないはずのベルが鳴り響く。不規則に巡回しにくる誘拐犯の目を盗み、ついに勇気を出して電話をとる。相手は過去に誘拐犯に殺された少年たちだった。
とにかく寂しくて切なくてつらくなる。子供は殺さないでよー……。
誘拐されて怖い思いをして無念にも殺されてしまった少年たちが一人ずつ電話をかけてきて、生きようともがいて得た知識・成し遂げられなかった試みを主人公の少年に託していく。あそこの床は脆いから穴を掘れ、とかてこの原理で窓を壊せ、とか壁をくり抜いて冷凍庫の裏に抜け出せとか。必死に抗った挙句理不尽に殺されたんだと思うと辛くて辛くて……。
何より電話をかけてきた子が名前を聞かれた時に「わからない、忘れた」「名前を忘れたの?」「ここにいると最初に忘れていくんだ」がまた寂しくて寂しくて……。そして攫われた時のことを話していくうちに「きみ、〇〇だね。いつも新聞配達してた……」って存在が分かっていくのもまた寂しい。「そうなの? じゃあ僕は〇〇だ」みたいな返しにまた泣ける。死んだ人には二度と会えない現象過激派(?)な自分、非常にナイーブになっちゃう。生きていて欲しかった友達がとうとう電話をかけてきた時は号泣である。
犯人イーサン・ホークだったな。最後まで誘拐の動機は語られなかったけど、単純にシリアルキラーだったんだろう。マスクが不気味で良かった。地味に真顔バージョンと笑顔バージョンあるのよね。
サスペンス要素もなかなか出来が良い、犯行現場の見せ方なんてサスペンス小説のそれだった。
主人公の妹はべらぼうに勇敢で賢くて行動力もあって良かった。虐待親父に負けずたった一人の兄のためスキルをフルに使って動き続ける姿勢はMVP。
ずっと不穏で良かったけど電話相手の正体が分かってからは割と温かい気持ちで見れる系。スカッとするし一応ハッピーエンド。
2023-04-01