フォーエバー・パージ

一作目が半端なく面白かったシリーズ、知らぬ間にまた出てたので観てみる。

一年に一度、12時間だけ全ての犯罪がちゃらになる「パージ」。メキシコからの移民である夫婦は今年初めてパージを経験することになる。不安な一夜を無事に過ごしてそれぞれが日常へ戻る中、街の様子が何やらおかしい。終わったはずのパージが過激な保守派により続行されてしまったのだ。

終わらないパージだからフォーエバー・パージね。一番の醍醐味だった「12時間だけ」の縛り、その他使用可能な武器だったり特権階級の待遇だったりといったルールが早々にすっ飛ばされたのはちょっとアレだったけど……。

でも絶望感で言ったらスケールも相まってシリーズで一番だった。そりゃそう。ご近所の過激派に狙われ居住区は血祭り、都心部も炎上、国境封鎖されてライフラインもほぼ機能せず。何より暴徒は保守派なので移民とバレた時点で――容姿で即バレなので何なら姿を見られた時点で――殺害対象となるのが恐ろしい。大規模テロだ。

夫婦も命を狙われる中、ご近所だった白人家族を助けて庇い合いながら逃亡する。結託して国境を脱出しようと試みる移民の人々と合流するため、そして無事にアメリカを出るためサバイバルするスリラー。

良かったのは主要メンバー。なんと主人公夫婦は元軍人で戦える。虐げられる側のこの夫婦が、元々ちょっと鼻につく白人家族（嫌な感じだったのは旦那だけだけど）を迷わず助けてフォローしながら生き残っていくのが熱い。白人家族は当然一般人、しかも妻の方は身重の状態。えげつないハンデを抱えつつもイライラさせるような足でまといキャラはおらず、全員が一丸となって互いを守ろうとするのがかっこいい。ど一般人だった白人娘も度胸と銃撃スキルをグイグイ上げていく様子も楽しい。

後半で合流した移民の人々も、今や恐怖の対象であるはずの白人家族を匿って妊婦のお母さんを全力で守る姿勢がグッとくる。そう、何なら白人家族も保守派のふりをして移民夫婦から離れた方が確実に安全だろうに、命を助けてもらった恩を忘れず・また行く末を案じて一緒に逃げ出す決断をしたのも良い。というか決断したっぽい描写もなく自然に最後まで完全味方枠で動いてくれていたけど、そこが良い。

死んでほしくないメンバーもいたけど、ややマンネリだったパージにもう一段階の絶望パターンを見せてもらった感。強い夫婦は良いな。