サスペリア

Suspiria

ドイツの有名バレエ学校へ単身入学したアメリカ人少女。入学初日から学校の人間が惨殺されていく。

サスペリア

Suspiria

有名だけど観てなかった系、配信開始してたので観る。
これぞゴシック・ホラー! 痺れる世界観と雰囲気と光と色彩。好き〜。

去年あたりからしっかり勉強し始めていたゴシックの定義、怪奇物語の変遷。それらを経てこの映画を観ると「こ、これがゴシック・ホラーだ……!」と感動を覚える。
閉じられた空間、謎めいた予言、秘密の部屋、不吉の予兆、発見された手記、超自然的な現象、ヒロインの過度な感受性と想像力……。それに身体的な苦痛を伴う恐怖、死と暴力。これらことごとくゴシック・ホラーの定義を再現している。
ゴシックの源泉は男性的で粗野なゴート人とのことだけど、このストーリーの舞台は華やかなバレエの学舎。全寮制の閉鎖空間だけど鮮やかな部屋の数々と美しい少女たちが主役。そこに悲惨で残虐な事件が続発する、そのコントラストが良い。
オープニングからテンポと景気の良い惨殺で掴みも申し分なし。

とにかくインパクトに残るのは光。照明? 特に夜の時。メインの二階はとにかく真っ赤で屋根裏は真っ青。絶対落ち着かないだろってくらい寝室も真っ赤っか。たまに緑や黄色が入ったり。だけど外は普通に真っ暗。校内だけのこのどぎつい色彩の光はかなり芸術的で幻想的、外との別世界観がものすごい。日中は割と普通の学校なのに、夜のこの雰囲気は確かに不安定になりそう。
ラストの部屋で振り返る主人公のカットはだいぶアート、この映画でワンカット選ぶならここだな。

音楽も良い。冒頭から怪しくてファンタジーな音楽、これが全編ずっと流れてるからかなり頭に残る。ドラマ『トリ◯ク』のサントラはこれからインスパイアされてたりする? と思うような雰囲気。好きです。

キャストも良い! 主人公、だいぶ良い。ありきたりな可愛さでなく品のある顔立ちと低い声、現代に通ずる太眉に薄化粧、カーリーなブルネットの髪も素敵。そういえば一度も絶叫しなかったな。ステルス特化が生き残る定めか。
主人公といい感じになる青年もめちゃハンサム。でも終始影は薄めで仲が展開するわけでもない、それはそれで楽しい。

時代が時代なので直接的な描写は拙いところも多々ありだけど、雰囲気と演出で良い時間を過ごせたゴシック・ホラー。
タイトルの意味調べてみたけどラテン語をもとにした造語らしい。
2023-01-30