守護者を失って喪中の国に、資源を狙う世界政府ととばっちりを食らう海底国家。新国王はどちらと戦争をするか迫られる。
ブラックパンサーなら観るけどもさ。好きなヒーロー聞かれたらブラックパンサーと答えていたのにさ……うなじにT'Challaと彫ると決めてたのにさ……我慢できず腕にヘナしてたのにさ……。 何がありがたいって、しれっとキャスト変えて続けるんじゃなくてチャドウィック・ボーズマンのままティ・チャラを終わらせてくれたことよね。大ヒット大人気ヒーローでこれからというフェーズにおいてこの決断、これ以上ないリスペクトと思う。 今までにない気持ちで観たなあ。亡くなったティ・チャラを思ってキャラクターが涙する度、その心情が痛いくらい響いて伝わってつらかった。俳優が本当に彼を思って泣いているようでなあ。アイアンマンとかブラック・ウィドウの時もとんでもなくショックだったけど、今回は本当にもう二度と、違う形でも会えないんだと思うと寂しくて寂しくてどうしようもない。 キャラクターが物語の中で死んでも演者がいれば死後の世界や幻で再会できる。それも不可能だということが伝統や迷信を信じない妹の真に真っ暗になった世界に恐ろしいほどリンクしている。 そう、この妹のシュリの現実主義がストーリーにダイレクトに響いてたのが凄く良い。神も仏も死後の世界も信じない人にとって、死は絶望だけで救いはない。これまで「伝統なんて興味なーい、テクノロジーで解決するよー!」な若者ポジションだったお姫様が、テクノロジーで兄を救えなかったシーンから始まる。物凄いフリの効かせ方だし、ある意味むごいオープニング。 そこからシュリの傷心はどうにもならないまま、立て続けに母も失う。ひどいことするわ。どうにかハーブの生成に成功していざ神秘の草原で祖先と交信を……が、そこで再会したのは兄を一度殺したキルモンガー。この展開め〜〜ちゃ良い。だって間違いなくシュリを突き動かしてるのは信仰心でなくククルカンをぶち◯すという復讐心だし。その結果神聖なる草原には導かれなかったという運命が、かえって神の"正しい"導きを見たようで、この展開はとても好きだった。 それまで直接的なことは言わなかったシュリが、その後エムバクに「私の望みはククルカンに許しを乞わせてその死を見届けること」てとうとう殺意を吐露するところでボロ泣きしてしまった。キルモンガーになっちゃいけないよ……。 でも! 更に良かったのは最後ククルカンに槍を向けた時。戦争に至るまでの記憶を遡っていく、あのシーン。めちゃくちゃ良かった。戦争は誰が何のために始めたのか、それを考えなきゃいけない。人の命を奪う前に絶対に思い出さなきゃいけない。始まったら止められなくなる、やがてきっかけを押しやってただ負けないために殺し合ってしまう。あの時のシュリはとてつもなく偉いと思った。危ないから書面で締結しておいてとは思ったけど。 とナイーブな感想が膨大になったけどエキサイティング面でもだいぶ良かった。 強い女戦士たちはマジでムキムキだし、アクションも音楽もかなり良くてアゲアゲ。車とバイクとアイアンスーツでチェイスするところは大興奮。あとは衣装! 衣装が全部良くて最高、シュリのファッションが特に好き。スタイル良すぎ。そんで兄があんなに頑張った伝統の儀式も欠席で祝辞だけ送るのも面白い。 キャラクターについて、ククルカンは海の王だけど先にDCのモモア様を見ちゃうとちょっと物足りない。やっぱり海の王はロン毛が良いなあ。水から上がった時のぺったりヘアがちょっとカッコ悪い。がキャラ被りを考慮すると仕方ないか。 タロカン族の登場シーンでは不気味な歌→船員が催眠状態で海に落ちていく流れで「これは絶対に人魚伝説だ!」とはしゃいだのに出てきたのがもろ魚人系でちょっとロマンは失われた。まあ戦士だから良し。 あとキルモンガーぶっちゃけ大好きで死後の世界に出てこないかなあとは期待してたので、登場した時は地味に大興奮でした。 普通に面白いし楽しかったけど定期的にティ・チャラがいないことが寂しすぎて号泣する。