ザ・ブルード 怒りのメタファー

The Brood

精神病治療中の妻と離れて暮らす父子、その周囲で相次いで猟奇殺人が起こる。

ザ・ブルード 怒りのメタファー

The Brood

アマプラにおすすめされたので観てみる。聞いたことないけど評価が高いSFホラー、年代的にも興味ある。

奇妙なオープニング。おじさんがおじさんに「ダメ息子……ダメ息子……」的な呪詛を唱え続ける。革新的な精神治療法の研究を進める教授による公開治療から始まる演出。
主人公はその教授の元で治療中の妻を持つ男。公開治療を覗いた後に妻と面会した娘を迎えに来ると、娘の背中には夥しい数の痣が!!
元から教授を胡散臭がっていた主人公は激怒、教授の療法に不信感を爆発させる。そして妻と娘を引き離した矢先で起こる猟奇的な殺人事件。次々と惨殺される被害者には共通点があった。主人公がたどり着くおぞましい犯人とは……。

面白かった。まずジャンルをあまり把握していなかったので展開が読めない楽しさもあり。精神病、研究施設、むごたらしい殺人事件とこの手のサスペンス大好き勢にとってはワクワクする。
からの中盤で登場する不気味な存在。これも良かった。ビジュアルも生態もグロテスクで。いきなりSFに昇華する流れ、これでやったのかと思わせてからの展開、楽しい。正体がわかっても正体が分からない(?)絶妙な複雑さもオチのドン引き展開への導線で面白い。

メタ読みでも誰が善人で誰が悪人なのか分からない。
教授は状況的に超怪しいし登場人物からも軒並みボロクソに言われてるのに善人としか思えないし(地味にすごい見せ方だ)、妻も狂気を感じるけど精神病という前提がある。告白するトラウマは事実なのか妄想なのか、食い違う母の方が嘘をついているのか、それも分からない。妻の父親も愛情に満ちているように思えるけど、こっちは妻の言うことの方が信憑性があるし、結構巧妙だ。
唯一の良心は保育園の先生、あの先生大好きだ。くっつけばいいのに。

SFホラーとしてもサスペンスとしても良かった。思ったよりインパクト大なオチがあって記憶に残るお話。
2022-10-08