七人の侍

七人の侍

野武士に狙われる貧しい村。無一文の百姓が七人の侍を雇うため村を出る。

七人の侍

七人の侍

黒澤明を一本も観ていない黒澤コンプレックスだったので東宝名画座に登録した機会に観とく。

まず冒頭から音質と滑舌と古い言葉でセリフが全然聞き取れなかったのでイヤホン着けてPCで観直す。邦画は字幕も無いからこういう時地味に大変だ。
それにしても凄い、普通に面白い。この"普通に面白い"を生んだ第一人者なんだろな。映画の基礎というか西部劇の演出というか。

普通に号泣した。号泣ポイント二つくらいあって思いの外泣いた。時代劇でこんな泣くと思ってなかった。
一つは町のならず者が侍にキレるところ、二つ目は三船敏郎が侍にキレるところ。侍にキレると泣くのか? シンプルに台詞回しがグッとくる。
一つ目のならず者、米だけを報酬に侍を雇おうとする百姓を馬鹿にし続けていたけど、やっと見つけた侍が渋るのを見て百姓よりブチ切れる人情に泣けてしまう。「分かってねえのはお前さんたちよ。分かってたら助けてやったらいいじゃねえか。ほれ、お侍。これ見てくれ。こいつはお前さんたちの食う分だ。ところが、この抜け作どもは何食ってると思う? 稗食ってるんだ! 自分達は稗食って、お前さんたちに白い飯食わしてやってるんだ。百姓にしちゃ精一杯なんだ!」号泣である。
二つ目は三船敏郎、今まで縋り付いてきていた百姓が落武者から剥ぎ取った甲冑や武器を隠し持っていたことに侍たちが失望している中でのシーン。「やい、お前たち。一体百姓を何だと思ってたんだ。仏様とでも思ってたか。(中略)よく聞きな! 百姓ってのはな、下品で狡くて泣き虫で、意地悪で、間抜けで! だがな、そんなケダモノ作ったのは一体誰だ。お前たちだろ!」また号泣である。良い脚本。

上映時間見てなかったので想像以上に長くてビビったけど(3時間半)途中で「休憩」ドン! が出てはしゃいだ。初めて見た、昔の3時間超えは休憩の尺をフィルムそのものに挟んでたのか。この間におトイレ休憩とかね。へ〜すごい。流石に飛ばしたけど。

三船敏郎の名前はちょいちょい聞いてたので「どれがその人かしら」とキャラが出るたびにぼんやり考えてたけど出てきたらすぐ分かった。主役顔の男前、そして演技力。いいキャラだった。このキャラとお師匠様が大好きだったけど想像以上に侍が死んでしまった。七人が最後まで七人とはいかない、それが戦。でもショックだったなあ。
いやあ普通に面白かった。三船敏郎、ファンです。
2022-08-22