震える舌

震える舌

泥遊びをしていた少女の指先の傷から破傷風が発症。地獄の日々が始まる。

震える舌

震える舌

『エクソシ◯ト』より怖いと聞いたので興味本位で観てみる。怖いもの見たさで鑑賞したけど後悔した、めちゃくちゃ悲しい気持ちになった。怖いっちゃ怖いけど圧倒的「つらい!」「もうやめて!!」が勝ってひたすらしんどい。

小学校に上がる前の小さい女の子が舌を噛んで血まみれになりながらのけぞって痙攣したり、絶叫して苦しんだり、注射めちゃくちゃ打たれたり、いかつい機械付けられまくったり……。もう、悲しくて悲しくて……。
上手く歩けなくなってきた時点でずっと悲しくなってた。大病院に連れて行かれて若先生が「心因性のものです」って診断してから翌日大先生が「これは心因性のものじゃないですね」の、上げて落としてくる感じ。その後病名を聞くお父さんに「相当に頑張ってもらわないといけないですよ」の絶望感。もう〜。

ヤバそうなことが分かってからの一連の病院のシーンは本当に不安を煽る展開でしんどい。色んな検査タライ回されてから、光や音に敏感になるので、と隔離病室に黒カーテンをつけて真っ暗にしていくのとか……無理……。何回も痙攣起こしてその度にどんどんグレードアップしていく治療器具にお母さんが段々参っていくのも見てて辛い。また痙攣起こして担当医が駆けつけた時にとうとうナイフ振り回して「もう何もしないで!」て発狂するのは泣けた。もぞいわ。まず病室がずっと真っ暗なのが拍車かけてる。あんなところで重病の娘を見守りながら不定期で唐突に絶叫・痙攣されたら流石に心折れる。おばあちゃんがお見舞いに来てやっと号泣するお母さんにこちらも号泣である。

指先の傷で発症、ということから娘に親指噛まれたお父さんが自分もうつったんじゃ……と妄想するのが妙にリアル。怖いよね。お母さんもささくれごときでうつったと勘違いし始めるし、すり減る精神に不安が煽ってくる。
リアルで言ったら娘の呼吸がまずいので気管切開手術をすることになったけど「中止です。大先生がこれ以上体に負担かけさせるのはと……」の生々しさよ。もうどういう顔で聞けばいいのよ。自分もお母さんみたいに壊れてしまうと思うわ。

でも絶対に「お手上げです」とは言わない担当医のプロ根性にも泣ける。正直他にも見なきゃいけない患者いるだろうに、度重なる痙攣の緊急対応に毎回飛んでいくプロ。心電図が止まってもマッサージし続けるプロ。
器具を取った娘の第一声が「チョコパン食べたい」でもう全身の水分抜けるくらい泣いた。頑張ったね怖かったね……。地味に泣けたのは娘が担当医の先生にめちゃめちゃ懐いてくれてたとこ。もう会話なんて一言も交わせてなかったし、治療で娘にとっては辛いことしかされていなかったようでも、ずっと必死で救命し続けてきた先生の思いは届いていたのね。うう。

チョコパン食べたいで病室が笑って和んで、「ジュースくらいなら……」でお父さんが全速力でジュース買いに飛び出していったとこでもうギャン泣きである。大急ぎで買って、走って戻ったら途中で転んで、落としたジュースを拾いながら号泣するお父さん……良かったなあ。

でも変な映画見すぎて最後にお父さんお母さん発症したらどうしよう……とかラストのカットで痙攣したらどうしよう……とか最後まで全然安心しきれなくてちょっともったいなかった。素直に受け止めよう。
2022-09-07