ノープ

NOPE

農場の上空に現れた円盤。農場主は決定的瞬間の撮影に奔走する。

ノープ

NOPE

ジョーダン・ピールなら観ない選択肢は無い。キレッキレのホラー・スリラーでガチ怖には信頼の置けるこの監督。
これまでは種類で言えば電車で不審者と閉じ込められた時の恐怖って感じのガチ怖が多かったけど今回はUFOが出る。SFだ! 大好きなSFだ! ワクワクで鑑賞。

観てみて衝撃、SFホラーというより獣害ホラー!!
円盤は未知のテクノロジーメインというわけではなく、中にエイリアンが入ってるわけでもない。円盤そのものが凶暴な獣で、目を合わせると見境なく襲ってくる感じ。この目を合わせてはいけない習性かなーり気に入った。手に負えない恐ろしい食人の獣との戦いみたいだ。
そんなにアクティブな円盤でもなく、大人たちが未知の生命体に取り憑かれていく雰囲気は『未知との○遇』だけど、個人的にはこっちの方が好き。怖いし、いちいちワックワクしちゃう。

恐怖演出でいえば初っ端からトラウマ。血まみれのチンパンジーが出た瞬間「あ、私これ観れない……」とギブアップしたくなったほど。ゴーディの章に入っちゃった時はスタジオ入りする視点の導入で緊張しすぎて動悸が止まらなかった。鑑賞後しばらく足がすくんだし。夜思い出して眠れなくなったし。私、あの雰囲気で映し出される獣害系ダメなんだな。自分でも知らない恐怖のツボを知った。無理〜……。

円盤の恐怖演出もすごい。血の雨なんか最悪すぎてキツい。あんな怖い思いしてなお撮影しようとするのはとんでもないなと思ったけど、逆にあんな目に遭って野次馬の記者たちに儲けを取られるくらいなら確かに諦めきれないかも。あれも未知に取り憑かれているみたいである意味不気味だ。そこのフォローのために「これって意味あることだよな?」の台詞を挟んだのだと思うけど。

お気に入りカットは何個かある。血みどろの家の窓から外を見下ろしつつ音楽にノる妹とか。空をぐぐぐ〜って見回した途中で円盤の影を見つけてサッと視線下ろすとことか。臨場感。たまらない。小耳に挟んだAKIRAのバイク演出も楽しめたし。

ジョーダン・ピール作品どれも難解だったけど今回は一番分かりやすかったかも。パンフレットの「有色人種の逆襲」説は確かにしっくりきた。ジュープだけ助かった理由にもハマるしね。いやー、もう一回観たいけどトラウマが恐ろしくてちょっと躊躇う感じだなー……。でも良かった、面白かった。
2022-09-03