嵐の夜に電話を借りようと訪ねた城は人造人間を生み出す狂宇宙人の館だった。
名前は聞くけど見た事なかったのでTSUTAYAで5本借りるためにレンタル。 なかなか狂気のSFミュージカルで不思議な気持ちになった。大人向けなのか子供向けなのか分からないけど、少年期に観たら夜うなされそうだし、思春期に観たら色々歪みそうなので18歳以上からの方がいい気がする。性が倒錯している。 いきなり真っ暗な画面で巨大な口が歌い続けるインパクト大なオープニング。からの結婚式シーンでバカップルが唐突に歌い始めて「ミュージカルなのー!?」となる。ミュージカル文化に生まれていないので前もって知ってないと毎回この驚きを味わう。そういうもんだと分かっててもやっぱり何で歌うの? の感覚は一生抜けないと思う。何で歌うの? でもその後の歌唱シーンは唐突ではなくショーとして自然で見やすかった。 バカップルが迷い込んでしまったお城はマッドサイエンティストと大勢のご機嫌な使用人が住まう怪奇の館。彼らは奇妙なダンスと歌で四六時中騒いでおり、マッドサイエンティストはトランスセクシャル星からやってきた宇宙人だった。かねてより好みの金髪マッチョ人造人間を完成させることに費やしてきた宇宙人はカップルを迎え入れた夜に遂に目的を達成する。完璧な人造人間に宇宙人の欲望は暴走し、それに誘発されたカップルも欲に飲まれて堕ちていく。 人造人間が完成して美声で歌うところまではちょっと不気味だけど明るい雰囲気だった。その後登場したエディを宇宙人が唐突に撲殺したところで急に背筋がひんやりした。その辺りからどんどん狂っていった。宇宙人は人造人間と結婚して寝室に篭った後、カップルの彼女の方に夜這いしに行ってから彼氏の方に朝這いする。使用人は人造人間を虐める、彼女は人造人間に抱かれる、その間に友人の教授が来たので拘束する……。物騒な上に倫理観も無いけど終始ご機嫌な音楽、歌、ダンス。派手な衣装にトリッキーな科学。終盤になってくると「自分は何を観てんのかな……」と思えてくる。最後は全メンバーガーターベルトのフロアショーと殺人。芸術的だけどどの層に向けてるんだ。どの層にも向けてなかったのか。好きなもの好きなだけ作るってこんな感じかな。 倫理観はないかもしれないけど変態宇宙人は割と魅力的。あのいい声で迫られたらオネエキャラでもグッとくる。ただ彼女が初めてと知った時はええ!? と声が出た。まあ彼氏もあっさり乗ってたしどっこいどっこいだ。 トランスセクシャル星の宇宙人とは言ってたけど、この時代からしたらそういった性の異様さは桁違いだったのかな。宇宙人レベル? それとも単にSFを実現するために未知の知識を持つ宇宙人設定が欲しかっただけなのか。途中までそういうジョークかと思ったら最後星に帰ろうとしてたからマジ宇宙人だったんだと知る。 ていうかロッキーって宇宙人の方じゃなくて人造人間の方だったのか。地味な衝撃だった。 いやー23になってから観て良かった。