プラットフォーム

El Hoyo

下層の食糧は上層の食べ残し。月に一度移動させられる層は選べない。

プラットフォーム

El Hoyo

不気味そうで気になってたけど見過ごしてたやつ。親知らず2本抜いて麻酔が切れて疼くまることしか出来なくなったのでこちらを鑑賞。

風刺というか縮図というか。しんどい気持ちにさせられる哲学系SFスリラーだった。上層の残飯を食らう下層の人々、ど直球だ。その更に上のキッチンでは料理人たちが支配人の厳しい指導のもと完璧な料理作りに専念している。出せばすぐにグチャグチャに貪られるのに、下の層なんてまるで見えていないので関係ないのだ。断絶した世界線のギャップが不気味。ただただ料理を追求する、その姿は人間に恵みを与えるだけ与えて後は関知せず自己満足に耽る神のようだと凝ったコメントがあって唸った。

テンポは良いけど謎は一切解明されないまま。マジで全貌が分からない、情報を得たと思ったら5割くらい間違ってたし。途中から主人公の妄想も交錯して現実はどんどん曖昧に。

中盤までの展開はなかなか狂気の沙汰で面白かったけど、いろんなことがボヤボヤしてきたところからいまいち……。それこそ202階で目覚めてルームメイト見た瞬間まで本当に良かったけど、そこからの失速感が否めない。パンナコッタは途中の回想と関係ないし、子供が混ざっちゃった理由は分からないし、そもそも女の子だし、その前にミハルはどういうスパンでどこまでの階層を探していたのか分からない。めちゃくちゃだ。というか誰も台座に乗って上へ戻ろうという発想に至らないのか。

でも思ったより社会派なニュアンスで多分に意味深なメッセージは込められてそう。終盤でミステリアス欲しくなっちゃったのか分からないけど、最後の最後でそのメッセージもグチャグチャになってしまったので鑑賞後別に何も残らない。でも哲学と宗教と現代社会の諸相を織り交ぜた演出なのでコメント欄の考察は面白い。
初のスペイン映画は新鮮だった。
2022-07-09