バズ・ライトイヤー

Lightyear

未知の惑星に不時着した一行は船を修理して帰郷に挑む。が、一度の飛行テストで4年進む。

バズ・ライトイヤー

Lightyear

『トイ・ストーリー』は三作品しか無いと己に言い聞かせるほど前作が受け付けられない自分だけど、今回は本軸とは関係ないバズのスピンオフ。冒頭で「これはアンディがバズを好きになった映画のそれです」的な説明があったので完全にストーリーとは無関係らしい。ていうか声が所さんじゃないので本当に別物に感じる。

かなり絶望的な話だった。何だか収まり良く締めてたけど私には序盤からずっと地獄に思えた。キャッチーかつ解決出来てない『イ◯ターステラー』というか、哲学を抜いた『火◯鳥』というか。私がバズなら自害している。なぜそんな前向きに生き続けていられるのか……まるっきり価値観の違いかもしれないが、少なくともこれがアンディ少年を夢中にさせるほどのワクワク冒険譚とはいまいち思えない。

しんどい要素結構あるので振り返る。
まず誰かの失敗で展開する構成は胸が痛いので勘弁してほしい。ディズニーの鉄板ってこんなだったかなあ。その演出が一度や二度じゃないんだもの。シーンを展開させるきっかけがことごとく誰かの失敗で、しかも展開用だからどれもデカめの失敗。割と取り返しがつかないレベルのが次々。それで何もかもグダグダになるし。グダグダ連発展開苦手なんだ。
AをするためにBが必要、と思ったらaの失敗でBが奪われたのでCが必要、Cを起動させるためにDが必要だけどbが壊しちゃったから代わりのEを取りにFへ行こう……みたいに、終始グダグダ展開で心がしんどい。目的がどんどん遠くなる。これ子供たち追いつけないでしょう。

でもやっぱりトップオブしんどいはストーリーだ。前半から。もう前半の流れからただただ地獄に感じる展開だったので、あまりにもあんまりだったので「ははーんコレはもうタイムマシンとかでどうにかするやつだな」と予想を立ててしまうレベル。自分のせいで不時着した星、絶対に故郷へ帰るぞと願うまま結局そこで応援してくれた相棒の一生を終えさせるなんて無理でしょう。で、これが『火◯鳥』ならその子孫が星を出て故郷へ帰るために悪魔と契約するけどこの映画の場合は真逆だ。それもモヤモヤしてしまう。故郷及び祖国を愛し誇る派なので、祖母が事故で墜ちた地でキャリアと夢を折られ人生を終えたと知ったら何が何でも帰りたい。こんな無機質な緑のない施設の内側で死ぬのは嫌だ……。閉鎖された空間から飛び出して欲しいのでこの辺はどうしてもモヤモヤ。そりゃよっぽど幸福で居心地が良いならまだしも侵略されてますやん。そういうことだ。でもこのご時世だからひょっとしたら移民感情も織り交ぜてたのかなぁ。この地に生まれ育ったから共感できないだけかな。

ザーグの正体がバズの父というのは周知の事実だからどう演出するのかな? と思ったらなるほどの展開。コレがやりたくて前半の地獄を? と思ったけど結局ザーグの方に共感しちゃうからどうにも。地獄は解決されないよな。うーん。下手したら寝れなくなるくらいのトラウマ的内容だったけどあまりに爽やかに宣伝されるから分からない。

何故か吹き替えしか上映してなかったけど鈴木亮平うますぎて全然気づかなかった。ていうか、ええ!? 本家クリエヴァなの!? いいなあ。あとはおじさん、いい声、好きな声だ、ミキシンみたいだと思ったら本当に三木眞一郎だった。若マグニートーの声を聞いて以来好きなのよ。癒されました。
2022-07-02