頭使わないやつが観たくてこちら。『怒りのデス・ロード』はだいぶエキサイティングしたけどこっちの方はまだ観ていなかった。主演の人、若メル・ギブソンか!! なんか観たことある顔だと思った。
意外と舞台は世紀末じゃない。現代(当時の)のちょっと荒れた地域。ヒャッハー軍団もリアルなラインで残虐非道の振る舞い。あえて銃を所持しないスタイルがかえって発展途上感があってむごたらしい。
オープニングでいきなり凶悪犯vs警察のカーチェイスで盛り上がってからの主人公登場のシーン。追跡班がことごとくクラッシュさせられ、満を持しての出発の流れで信じられないくらい安全な発進だったので一発で好きになった。
やり方が荒いけど優秀な刑事である主人公、ある日"ナイトライダー"を自称する警官殺しの逃走者を追い詰めたところ相手はそのまま事故を起こして死亡。手柄にはなったがナイトライダーのバックには恐ろしい暴走族一味がついていた。その日を境に暴走族の報復は開始される。
とにかく過激、いちいちやることがえげつなくて目を背けたくなる。娯楽スプラッタなわけではないがこの世の地獄を感じさせるような犯罪の数々。どこまでも追いかけてくるのが本当に嫌。逃げる手段を潰してくるのも女子供見境ないのも嫌。
散々甚振られた女子が駆けつけた警官にも心底怯えている様子がとても辛い。そんな姿を見ちゃったから暴走族のコネで釈放される悪党をぶん殴る警官にまた泣ける。その警官も報復に遭うのがまたしんどい。
とにかく観てる側も主人公と同じくらいブチギレてしまう劣悪極まりない所業。でもやっぱり過激な展開はワクワクする。ブチギレ主人公でさえ容赦無く体ボロボロにされていくのも「ええ、これもう勝ち目がないよ……」と絶望してしまう。勝ち目がないそれすなわち死なのでこのヒリヒリする緊張感が堪らない。なかなか無い、この感覚。
挙句一番憎い奴への主人公の最後の振る舞いが本当〜〜に凄かった。うはー! マ、マッドマーックス!! って感じだった。やっぱり男はちょっとおかしいくらいが良い。
と、荒れた世界だけど主人公カップルは非常に良い。今まで見たカップルで一番可愛いかもしれない。怒りに駆られる自分は警官バッジが無ければ暴走族と変わらないのでは……と苦悩する主人公に隊長が休暇をくれたが、直後に妻子とどこまでもドライブして山でターザンごっこしていてめちゃよかった。シリアスな悩みからの休暇消化の仕方が最高。好きになるわ。その束の間の幸せ空間も地の果てまで追いかけてくる暴走族がガチで嫌。でもこのガチで嫌……って思わせる敵はなかなか現れないのでやっぱり物凄い見せ方だ。
どこまでも荒地でネットワークも無いという環境が拍車をかけて希望を奪い取っていく。この時代この地域にいなくて良かったなあ。
地味に感動したのはV8! 怒りのデス・ロードで意味なく盛り上がってたけどこういう元ネタがあったのか。そりゃ崇拝してV8! V8! したくもなる。
2022-06-18