導火線 FLASH POINT

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フル暴力刑事が相棒をいじめた悪党組織に殴り込む。

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『イ◯プ・マン』と間違えたけどすこぶる高評価なので観てみる。面白かったぁ。
とにかく暴力の初速が早い。すぐ殴る、すぐ蹴る、すぐ投げる。なんなら開始一分もしないうちに暴力刑事がリングに乱入して犯人フルボッコ、からのインタビューで「不当な暴力じゃない」と爽やかスマイル。最高。

ドニー・イェンがこんなに最高とは知らなかった。『ロ◯グ・ワン』出演で界隈がザワザワしてたのはこういう過去作とのギャップが原因か。確かに同一人物とは思えない笑。かたや盲目の慈悲深い僧侶、かたやフル暴力脳筋刑事。どっちも好きだ。前者うろ覚えだけど。

この暴力刑事のワンマン映画かと思いきや、どちらかといえばバディ刑事ものだった。序盤の悪党の中でべらぼうにハンサムなメンバーがいるなと思ったらその人が潜入捜査中の相棒だった。やっぱりね。
じわじわ来るのはこのバディめちゃくちゃ仲が良い。あんまり刑事のバディでこんなに仲良いの見たことないから地味に面白い。潜入捜査中なのでコソコソ署に来た相棒に目出し帽持って「これ被れよ〜w」「やめろよ〜ww」ワチャワチャ「警部見てくださいwww」めちゃくちゃ仲良くてだいぶ笑った。警部巻き込まないで。
お互い全幅の信頼を寄せてるし、過激悪党を持て余す警部に「凶暴な刑事を呼び戻しましょう」提案するし。それに対して「やっぱり相棒だな」って言われても笑って頷く、これもすごい。こんなに素直な刑事バディかつていたろうか。

ひたすらにアクションが熱い、本当に痛そうな格闘。ていうか絶対何人か首やってる。ジャ◯キー・チェンリスペクトを感じるような大アクションカットのスローモーション、ワンカット長距離異動、マジ殴り(?)。やられる側のやられ方がいちいち痛そうでドキドキする。久々のこの感覚。よく見たらこの映画15年前でびっくりした。やっぱり一昔前の香港映画は暴力≒カンフーへの気合が違う。気がする。
ただ一つ気になるのはケガ美術がちょっと微妙だ。血がやたら赤くてサラサラ、服についてしばらく経っているであろう血も鮮やかに赤い。傷口もあまり本物に見えず、ちょっと惜しい。暴力が生々しいだけにちょっと目立ってしまった。ここ極めたら本当に見てられないバイオレンスになるんだろうけど。

バイオレンスといえば逃亡する悪党が小さな女の子を人質にとって主人公に銃を捨てさせるシーン、言う通りに捨てたのに女の子をアスファルトにぶん投げて流血・失神(だと信じたい)させたマジ非道に対してブチギレた瞬間の主人公がやばかった。アクションもだけどオーバーキルが凄まじい。刑事の肩書きがなきゃ一番危険な奴には違いない。

しかし仕事のできる主人公。潜入捜査中の相棒の正体を疑った悪党が相棒の携帯で電話かけてきたとき、迂闊に「よう相棒」とか「どこ向かってるんだ」みたいな致命的なこと言っちゃうのかとハラハラしたけど、無言の相手にジッ……と沈黙を貫いたのはカッコよかった。

演出で言えば命乞いをして彼女と共に見逃してもらった相棒が二人満身創痍のままボートで逃げ帰るとき、悪党の主要メンバーに銃突きつけながらすれ違う主人公が最高にクールだった。シュール&クール、良い味が出てる。
最終戦にて長閑な草原の中、夏の蝉の声に混じってドォン……ドォン……という緊迫のBGMも素敵。

ドニー・イェンの魅力をたっぷり知られたので『イップ・マ◯』も観てみよう。ラスボスの人どっかで見たことあるな〜と思ったらマトリックス二、三作目のセラフさんらしい。セラフ……?
2022-06-06